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【書評】『シン・ファイヤー』稲垣えみ子、大原扁理。お金に頼らない、シン・FIRE論

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著:稲垣えみ子, 著:大原扁理
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著者紹介

  • 稲垣えみ子

1965年生まれ。元朝日新聞記者。

50歳で会社を早期退職したことをきっかけに、都内の築50年のワンルームマンションに引っ越す。

「夫なし、子なし、冷蔵庫なし、ガス契約なし」の楽しく閉じていく人生を模索中。

『魂の退社』『寂しい生活』など、多数の著書がある。

著:稲垣 えみ子
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著:稲垣 えみ子
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  • 大原扁理

1985年生まれ。

25歳のとき、東京郊外で週休5日・年収90万円の隠居生活を始め、思いがけずFIRE達成する。

31歳で台湾に移住して、トラベルライターなどの仕事をしながら隠居生活を続行。

現在は親の介護のため、愛知県にある実家で暮らしている。

『いま、台湾で隠居してます』『隠居生活10年目、不安は9割捨てました』など、著書多数。

著:大原 扁理, 翻訳: 
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著:大原 扁理
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本の概要

「稲垣えみ子さん・大原扁理さん」の最強タッグによる、FIREについて書かれた本。

FIREとは結局のところ、「お金の心配から解き放たれるために、お金を貯めましょう」ということ。

しかし、「お金が貯めれないから心配なのに、心配を無くすにはお金を貯めよう」という既存のFIRE論は、大きく矛盾している。

世の中に多くのFIRE本が出版されているが、実際は一握りの人だけしかFIREできない。

それならばFIREを目指すのではなく、別の幸せになる方法を模索していくべきではないか。

  • お金の有無に関係なく、自分の幸せは自分で作るべきだ
  • FIREするより、お金以外の幸せになる手段を持つことが大事
  • FIREは幸せになる一つの手段に過ぎず、「FIRE=幸せ」ではない

など。

資産運用を主軸に置いた既存のFIRE論とは、一線を画している。

「お金に依存しない、シン(新しい・真の)・FIRE論」を学べる一冊。

こんな人におすすめ

この本は、こんな人におすすめです。
  • なるべく働かず、自由に暮らしたい人
  • お金に依存せず、幸せになる方法を探している人
  • 既存のFIRE論ではなく、新しいFIRE論を学びたい人

学びになった点

働く=人間をやめること

働くということは少なからず「人間であることをやめる」時間だったんですね。
(中略)たとえばお客や上司に理不尽に怒られても耐えなきゃいけなかったり、食事をする時間や休む時間をとれない時には「これじゃ人権がないじゃないか!」と思っていました。
そういうことも守らない仕事に、これが定年まで続くのか、と思う絶望感は分かる気がします。

大原さんは、『働くというのは「人間であることをやめる」時間だった』と言っています。

自分の意思や感情よりも、仕事を優先しなければならないからです。

  • お客や上司に理不尽に怒られても耐えなければならない
  • 仕事が忙しくて、食事休憩すら取らせてもらえない

仕事が第一となり、自分という存在は無いことにされる。

これはまさに、「人間をやめる」のと同じことです。

リョウ
リョウ

「働く時間=人間をやめる時間」

大原さんの意見は、的を射ていると思います。

ほとんどの人はFIREできない

FIREの本って、まず種銭として5千万円貯めましょう、というのがひとつの鉄板のやり方としてあるんですね。
でも給料も上がんない、なのに物価と税金だけは上がっていくこの時代に、まず5千万円という大金を貯められる人がどれだけいるんですか?と。
FIREがこの方向性しかないんだとしたら、ここで脱落・絶望する人がたくさんいると思うんです。

世の中には「FIRE本」が溢れていますが、それを読んでも多くの人はFIREできません。

そもそも、FIREするための資金を貯めることができないからです。

一般的に、FIREするには「年間支出×25倍の資産が必要」と言われています。

年間支出が200万円なら、5000万円。

半分の100万円でも、2500万円もの大金が必要です。

給料は上がらず物価と税金だけが上がっていくこの時代に、どれだけの人がそんな大金を貯めることができるでしょうか。

現状では「FIREは絵に描いた餅」になっており、実際に達成できる人はごく僅かの人だけです。

リョウ
リョウ

FIREは理論的に正しいかもしれませんが、大多数の人は実現できないため、別のルートで幸せになる手段を探したほうがいいと思います。

隠居も一種のFIREである

隠居はFIREに含まれている、と思いました。
(中略)5千万円なんていう貯金ももちろんありません。でも週休5日・年収100万円以下で6年ほど余裕で暮らせていました。
だから経済的に自立はしているし、20代でほとんどリタイアしているという意味では、FIREだと思います。

大原さんは、「隠居はFIREに含まれている」と言っています。

年収100万円以下でも週休5日で、ほとんど働かずに生活できているからです。

メキシコの漁師とMBAコンサルタントの話では、「FIREした後の生活が今と同じだった」というエピソードがあります。

大金を貯めてFIREしなくても、隠居すれば年収100万円以下で同じようなライフスタイルを実現できます。

リョウ
リョウ

お金儲けが苦手な人の場合、最低限働いて小さく暮らす「隠居」という選択肢もあります。

FIREの致命的な矛盾

やっぱりFIRE本ってどれも「お金の本」なんです。そこに限界があるなと思いました。
要するにFIREって「お金の心配から解き放たれるためにお金を貯めましょう」という話じゃないですか?そこに永遠の矛盾があるんじゃないか、と。

世の中に溢れているFIRE論には、限界があります。

なぜなら、既存のFIRE論には「お金の心配をしないために、お金を貯めましょう」という矛盾があるからです。

多くの人は「収入が少ない」「貯金できない」から悩み、苦しんでいます。

「お金が稼げない、貯められない」から心配しているのに、「お金の心配を無くすには、お金を貯めましょう」というのは、大きく矛盾しています。

そもそも、FIREできるほど大金を貯めることができる人なら、お金の心配なんてしなくて済むでしょう。

既存のFIRE論はどこまでいっても「お金の本」であり、そのやり方には限界があるのです。

リョウ
リョウ

お金の心配から解放されるためには、既存のFIREとは別の、お金に頼らない新しいやり方が必要です。

お金以外の幸せになる手段を持つ

お金だけが拠り所になって、「お金がないと」って感覚が強すぎると、いくら貯めても減ることが恐怖になってしまう。
でも「お金、あってもいいけど無くてもいいよね」と思える人は、お金以外の幸せになる手段をたくさん持っているんです。
だからお金を使わなくても惨めだと思わないし、結局そんなにお金を使わないじゃないですか。
使わない生活に不満もないし、惨めさもないし、何ならお金を使わない方が案外楽しいぐらいに思っているから収入がどう変わろうが結局お金にいつも余裕がある。

お金の不安を無くすためには、「お金以外の幸せになる手段を持つこと」が大事です。

なぜなら、幸せがお金に依存してしまうと、お金をいくら貯めても減ることが恐怖になるからです。

大きな家、高級な車、贅沢な食事など。

こういった「お金ありき」の幸福では、「お金が無くなったら今の生活ができなくなってしまう…」という心配は一生付きまとってきます。

お金以外の幸せになる手段を持てば、「お金は便利だけど、あっても無くてもいいかな」と思えるようになります。

リョウ
リョウ

「お金に頼らない幸せ」をたくさん持っていれば、お金が無くても幸せに暮らすことができるでしょう。

幸せはDIY(自分で作る)

僕にとっての幸せは、必要最低限だけ働いて、自分のことを自分でやって、あとはのんびり暮らすこと。
地位も学歴も名誉もないし、世間から見たらだいぶ不格好だと思いますけど、幸せは自分で考えて作ることだって出来る。そこから自分の足で立つことが始まる。

幸せというのは唯一無二のものであり、「自分の幸せは自分で作る」必要があります。

なぜなら、「何をもって幸せとするか?」は人によって違うからです。

大原さんにとっての幸せは「必要最低限だけ働いて、のんびり暮らすこと」。

周りから見たら変に思われるかもしれませんが、「自分の頭で考えて作り上げた、自分だけの幸せ」です。

世の中の多くの人は、「マイホーム」や「ブランドの服」といった、「既製品の幸せ」に囚われている人が多いように思います。

幸せというのは、世間体に囚われず「自分の頭で考えてDIYすること」が大事です。

リョウ
リョウ

世間体や世の中の常識に縛られず、自分の幸せは自分で作りましょう。

「FIRE=幸せ」ではない

結局FIREしてもしなくても、Happyはそれと別に自力でつかまなきゃいけないんだと。
つまり、FIREを達成しても不幸せな人もいるし、FIREを達成していなくてもすでに幸福になっている人もいるってことじゃないですか。
ここにいろんなことの本質がある、と思いました。だから、きっと、FIREを達成した後で気づくんでしょう。「あれ?幸せって自分でならなきゃいけないんだ」って。

FIREしても、幸せになれるとは限りません。

なぜなら、FIREは幸せになるための一つの手段に過ぎないからです。

たとえば「FIRE卒業」といって、苦労してFIREしたにもかかわらず、「暇だから」という理由で仕事に戻る人もいます。

「自分の幸せとは何か?」を分かっていなければ、FIREしたところで幸せにはなれません。

しかし、昨今のFIREブームによって、多くの人は手段が目的になっています。

FIREは幸せになるための一つの手段に過ぎないため、「FIRE=幸せ」ではないのです。

リョウ
リョウ

FIREするよりも、「自分の幸せとは何なのか?」を考えることが大事です。

「お金=幸せ」という発想から自由になる

お金が無くていいとは言わないし、お金を稼ぐことや使うことも、みんなが助け合って生きるための有力な手段のひとつだと思っていますけど、お金で自分の幸せが買えるとはまったく思っていないですね。
で、そう思えるようになることがお金から自由になるってことなんじゃないでしょうか。

「お金=幸せ」という発想を無くせば、お金から自由になります。

お金のために、自分を犠牲にしてまで働く必要は無くなるからです。

「お金さえあれば幸せになれる」と思っている人は、お金を稼ぐために働き過ぎて、自分を犠牲にしてしまいます。

しかし、本当の幸せとは「心身の健康」「人とのつながり」など、お金で買うことはできません。

逆に言えば、「お金が無くても幸せになることはできる」ということです。

お金から自由になるには、「お金=幸せ」という考えを無くしましょう。

リョウ
リョウ

お金は幸せになるための手段に過ぎず、目的ではありません。

自分を犠牲にしてお金を稼ぐと、本当の幸せを失ってしまいます。

幸せのハードルを下げよう

「幸せのハードルをどこに設定するか」。扁理さんのおっしゃるとおりで、「幸せのハードルが低いほど幸せになれる」。これは鉄則だと思います。

幸せになるためには、「幸せのハードルを下げること」が重要となってきます。

幸せのハードルを下げることで、日常に潜む小さなことでも幸せになれるからです。

  • 体が健康で幸せ
  • 天気が良くて幸せ
  • 友達と話せて幸せ

このように、幸せのハードルを下げれば、FIREせずとも幸せになれます。

逆に「賃貸ではなく持ち家じゃないとダメ」「服はブランド品じゃないと嫌」など。

幸せのハードルが高いと、それを手に入れるために大きなコストが必要になるため、幸せが遠ざかってしまいます。

幸せになるためには、まず「幸せのハードル」を下げましょう。

リョウ
リョウ

「幸せのハードルが低いほど幸せになれる」これは人生の鉄則です。

お金よりも美しく生きることが大事

僕はお金がなくても、自分で自分の生活を整えて、美しく生きられているなら大丈夫、と思える。
別の言い方をすると、お金がないと幸せじゃないと思っていたり、自分の損得だけ考えて生きることは、美しくないからやりたくない。

お金より大事なことは、「美しく生きること」。

お金だけを気にして、「自分さえ良ければそれでいい」という生き方は美しくありません。

古代ギリシャの哲学者ソクラテスは、「お金を増やすことより、善く生きることが大切だ」と訴えかけました。

世にも優れた人よ。あなたは、知恵においても力においてももっとも偉大でもっとも評判の高いこのポリス・アテナイの人でありながら、恥ずかしくないのですか。金銭ができるだけ多くなるようにと配慮し、評判や名誉に配慮しながら、思慮や真理や、魂というものができるだけ善くなるようにと配慮せず、考慮もしないとは。

プラトン『ソクラテスの弁明』より

お金はもちろん大事ですが、それよりも人として「善く生きる」ことが大事です。

リョウ
リョウ

「いまの自分は、『善く生きている』と言えるだろうか?」自問してみましょう。

著:プラトン, 翻訳:納富 信留
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「自己責任=他人はどうでもいい」ではない

自分で自分の人生に責任を持って一生懸命やることは基本大事じゃないですか。
その中から助け合いも生まれる。自分で自分を幸せにするためには助け合った方がいい、というか助け合わないと幸せなんてやってこないと私は思っているので。
だから「自己責任=他人はどうでもいい」ではない。

「自己責任=他人はどうでもいい」という意味ではありません。

本来の意味は、「自分の人生に責任を持って、他人のせいにせず生きること」です。

「自己責任とは、自分を開拓していくこと」という、マイナスではなくプラスのイメージで使うのが正しい使い方だと思います。

しかし、いまの日本では「自己責任」の意味が曲解されて、

「自己責任だから、お前が悪い」

「自己責任だから、誰も助けてくれないぞ」

という風に使われています。

この「自己責任を曲解して、他者を虐げる風潮」が、「生きづらさ」の原因となっているのです。

「自己責任」というワードは、使い方によって自己成長のきっかけにもなれば、人を追い詰める言葉のナイフにもなるでしょう。

リョウ
リョウ

「それは自己責任だから」と他人を切り捨てる社会は、うつ病や自殺を増やす原因になります。

「自己投資」が最強の投資である

お金よりも、自分の能力の貯蓄がどれくらい貯まっていくかの方が楽しみで。
この楽しみって、お金では買えない。だって自分の能力って、お金と違って、使っても使っても減らないどころか、使えば使うほど鍛えられて増えていくじゃないですか。
しかも盗まれることもない。それって、安全かつ最強の貯蓄ですよ。

株や投資信託などの資産運用より、「自己投資して成長すること」が一番の投資になります。

なぜなら、お金と違って減らずに、使えば使うほど「自分の能力の貯蓄」が増えるからです。

たとえば、株式は景気や情勢によって元本割れして、元の金額より減ることもあります。

しかし、自分の能力は外的要因に左右されず、自己投資するほど成長して増えていきます。

お金と違い、盗難や詐欺にあって奪われることもないため、セキュリティーも万全です。

株式などの資産運用よりも、成長して能力を鍛える「自己投資」こそが最強の投資です。

リョウ
リョウ

最強の投資は「自己投資」である。
私も本を読むなど自己投資して、成長するために頑張っています。

まとめ

『シン・ファイヤー』 まとめ
  • 「働く時間」というのは、「人間であることをやめる時間」と同じ
  • 世の中にFIRE本が溢れているが、結局ほとんどの人はFIREできない
  • 「最低限働いて、あとは自由に暮らす」という意味で、隠居も一種のFIREである
  • 既存のFIRE論は、「お金の心配を無くすために、お金を貯めましょう」という矛盾を抱えている
  • お金に頼らず幸せになるためには、「お金以外の幸せになる手段を持つこと」が大事
  • 「幸せ」というのは唯一無二のもの。世の中の幸せを鵜呑みにせず、自分の幸せは自分で作らないといけない
  • 苦労してFIREしても、幸せになれない人は一定数いる。「FIRE=幸せ」ではない
  • お金から自由になるためには、「お金=幸せ」という考えを無くす
  • 心身の健康など、幸せのハードルが低いほど幸せになれる
  • 「損得ばかり気にして生きる」よりも「お金に依存せず美しく生きること」が大事
  • 本来、自己責任とは「自分の人生に責任を持って、他人のせいにしない」という意味。「自己責任=他人はどうでもいい」ではない
  • 「自己投資」こそが最強の投資である。資産運用するより、そのお金を自分に投資して成長につなげよう
著:稲垣えみ子, 著:大原扁理
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