雨宮処凛さんの『死なないノウハウ』を読みました。

- 【読書日記】『死なないノウハウ』雨宮処凛
【読書日記】『死なないノウハウ』雨宮処凛
本の概要
著者が集めた「生き残るための知識」が網羅的に書かれた本。
- 働けなくなったら
- 生活費が無くなったら
- 会社から解雇予告をされたら
など。
「いざという時に使えるセーフティネット」が学べる1冊。
学びになった点
メニューを見せてくれないレストラン
この国には多くの社会保障制度がある。家賃の補助が受けられたり、保険料が減免されたり、病気や怪我で働けない場合に生活費が補助される制度など。
お金に関する社会保障制度だけでも実に100以上あるそうだ。
が、多くが知られていない上、探し当てて正しい窓口に申請した人のみが利用できるという、非常に使い勝手の悪いことになっている。
日本の社会保障制度は充実しています。
しかし「どんな社会保障があるのか?」を知られていないのが問題です。
貧困問題に取り組む湯浅誠さんは、日本の社会保障制度を「メニューを見せてくれないレストラン」と表現しました。
立派なメニュー(社会保障)は揃っているのに、客には見せてくれない(国民には知らせない)。
社会保障制度を使うには、自分から学ぶ必要があります。
家賃が払えない─住居確保給付金
「家賃が払えない」という場合『住宅確保給付金』が使えます。
原則3か月、最大9カ月まで延長可能です。
対象となる人は、
- 離職(仕事を辞めた)
- 廃業(自分で会社などをやっていたけど辞めた)
いずれかの後、2年以内であること。
もしくは、個人の責任・都合によらず給与などの収入が少なくなった場合。
また、貯金が各市町村で定める基準額6カ月以内で、100万円を超えない額であることが条件です。
具体的な金額は、家賃がその地域の生活保護の住宅扶助以下(東京で一人暮らしなら5万3700円以下)であれば、家賃の全額が支給されます。
申請する窓口は「住居確保給付金+住んでいる市区町村名」で検索すれば出てきます。
病院に行けない─無料低額診療
医療費を支払うことが出来ない場合、無料もしくは低額で病院にかかることができる制度。
「自分の住む市町村+無料低額診察」で検索すれば、該当する病院が出てきます。
無料低額診察をやっている病院には、社会福祉士がいて「アウトリーチ」の場になっています。
アウトリーチとは、支援が必要なのに届いていない人に対する働きかけのこと。
無料低額診察を使うに至った経緯を聞いて、必要であれば社会保障制度に繋げる働きをしてくれます。
ネカフェ生活で携帯が止まった─生活保護
生活保護の受給条件
生活保護の受給条件は、次の通りです。
- 国が定める最低生活費より、収入が下回っている場合(東京で1人暮らしだと約13万円)
- 活用できる資産が無いこと(貯金、家、車など)
- 経済的に助けてくれる身内がいないこと
家は資産価値が2千数百万円以下であれば、持ち家に住みながら利用できます。
車があっても、通勤・通院に必要と認められれば、売却する必要はありません。
ホームレスでも利用できる
住むところや住民票がなくても、生活保護は受けられます。
生活保護費には「転宅費」があり、敷金や新しい住居の日割り家賃、引っ越し費用などが出ます。
東京で1人暮らしだと21万円ほどで、アパートが見つかったらその転宅費を利用して入居します。
生活保護申請時の持ち物リスト
申請時にあるといい持ち物は、以下の通り。
- 印鑑
- 記帳した通帳
- 直近3カ月の収入が分かる給与明細
- 家賃や年金の額が分かるもの
これらがあると、審査が早く進むそうです。
扶養紹介について
生活保護を申請すると、家族に連絡がいく「扶養紹介」があります。
扶養紹介は絶対ではなく、
- 70歳以上の高齢者
- 10年近く連絡を取っていない場合
など。
親が高齢だったり、音信不通の期間が長ければ、扶養紹介を避けられます。
扶養紹介が心配な場合は「つくろい東京ファンド」と「生活保護問題対策全国会議」が作成した書類、
- 扶養紹介に関する申出書
- 扶養紹介に関する申出書添付シート
を、持参しましょう。
生活保護の申請の仕方は、自立生活サポートセンターもやいさんの「困った時に使える最後のセーフティネット活用ガイド」が参考になります。
自立生活サポートセンター・もやい「困った時に使える最後のセーフティネット活用ガイド」
DV男や毒親に居場所がバレたくない─支援措置、行方不明者の不受理措置
DVから逃げたい場合
DVから逃れたい場合は「配偶者暴力相談支援センター」に相談する。
暴力から逃れるための住居や経済的な支援制度の利用についてサポートしてくれます。
配偶者じゃなくても、恋人関係(パートナー)でも大丈夫です。
毒親から逃げたい場合
戸籍や住民票の閲覧交付を制限する措置ができます。
被害者の申し出によって、役所が被害者の住民票や戸籍の閲覧を、加害者に見せなくする対応です。
役所の住民課で「家族に住民票を見られない手続きがしたい」と言えば、対応してくれます。
申し出から1年間有効なので、その都度延長が必要です。
もうひとつは「行方不明者の不受理措置」。
DVや虐待加害者が捜索願を出した場合、警察にそれを受理しないように申し出することです。
これを出しておけば、警察が動くことはありません。

もしも解雇を受け入れるなら─解雇予告手当
解雇には、解雇の予告か解雇予告手当が必要です。
会社側は解雇をしようとするときは少なくとも30日前に予告するか、30日以上の平均賃金を支払わなければなりません。
即日解雇の場合には30日分以上を支払う必要があります。
ただし、解雇を受け入れたくない場合(会社に残りたいとき)は、解雇予告手当は請求しないこと。
解雇予告手当を請求すると、解雇を受け入れたことになるので注意が必要です。

仕事を失ったら─雇用保険
雇用保険の給付、いわゆる「失業保険」のこと。
失業保険については、以下の通りです。
- 自分が雇用保険に入っているかどうか、確認すること(給与明細で「雇用保険料」が引かれているか)
- 雇用保険の加入要件は、1週間に20時間以上働いていること。パートやアルバイトでも加入できる
- 会社を辞めたら2週間以内に離職票が届くため、それを持ってハローワークで手続きする
- もらえる金額は、給料の7割ぐらい
- 自己都合だと受給は2カ月後くらいだが、会社都合だと早くもらえる
- もし雇用保険料が明細で引かれていない場合、加入条件を満たしていると認められれば、ハローワークの職権で加入できる
会社から弁償金を請求された場合
「わざと会社の車を壊した」
「お酒や薬物を使って事故をした」
など。
よほどの重過失でない限り、仕事上の事故の責任は会社側が負うべきもの。
たとえば「壊した備品を給料から天引き」というのは違法になります。
会社が本人に同意書を書かせるケースも多いが、これは絶対にサインしないこと。
弁償金を請求された場合、個人加盟の労働組合(プレカリアートユニオンなど)か労働弁護士に相談しましょう。

仕事が原因でケガや病気になったら─労災保険
仕事が原因で病気になったり、怪我をしたときは「労災保険」が使えます。
「労災指定病院」なら、窓口負担なしで治療してもらえます。
労災指定病院でない医療機関だと、一旦すべて立て替えなくてはならないため、最初から労災指定病院に行ったほうがいいです。
労災は個人で申請できます。
なので、会社が労災を認めなくても、労災だと思ったら1人で申請しましょう。
仕事が原因でケガや病気をしたことを示す「証拠」を集めておいたほうがいいです。(現場の写真、会話の録音、タイムカードなど)
申請すれば、労災かどうかを労基署が判断してくれます。
業務外のケガや病気で働けなくなったら─傷病手当金
仕事が原因ではない、ケガや病気で働けなくなったら「傷病手当金」が使えます。
給与明細で健康保険料が引かれていたら、健康保険組合の傷病手当金が支給されます。
たとえば「プライベートで遊びに行って骨折した」という場合、それで働けなくなったら使えます。
申請方法は、以下の通りです。
- 健康保険組合のホームページで傷病手当金の書類をダウンロードする
- それを持って病院に行き、申請書の証明欄に働けないことを医師に書いてもらう(診断書は不要)
働けない間は最長1年半、給料の3分の2ほど支給されます。
ポイントとしては、うつ病などの精神疾患で労災認定されるか怪しいときは、傷病手当金が使えること。
もしうつ病になったら、いったん傷病手当金を申請して、あとから労災認定にすることもできます。
傷病手当金は国民健康保険の人は使えないので注意です。

治療費がかさんでしまったら─高額療養費
高額な医療費が発生した場合「高額療養費」が使えます。
高額療養費とは、医療費が高額になった場合に自己負担を軽減できる制度です。
自己負担額は年収別に異なります。
高額療養費のポイントは「月単位」ということ。
たとえば治療費に100万円かかったとします。
4月1日に入院して30日に退院すれば、その間にどれだけかかっても1月分の自己負担額で済みます。
しかし、4月15日に入院して5月15日に退院した場合、2か月分の自己負担額が発生してしまうのです。
だから、高額療養制度を使う場合、その月の範囲で治療を終えるようにしたほうが、自己負担額を抑えられます。

親が借金を作ってしまった場合─子供に返済義務はあるのか
「自分が知らない間に、親が莫大な借金を作ってしまった」
そんなトラブルがあっても、家族には借金の返済義務はないようです。
親・兄弟・夫婦、いずれも保証人になってない限り、返済義務はありません。
もし返せないほどの額なら、借金した本人が自己破産すればいいとのこと。
また、ギャンブルなどで作った借金は自己破産しても免責(返済義務の免除)が認められないと言われていますが、実際は免除してもらえる可能性はあるようです。

高齢で賃貸物件が借りられない場合─UR、ビレッジハウス、居住支援法人
日本では、高齢になると賃貸物件を借りるのが難しいと言います。
収入や資産がある人の場合、UR(かつての公団住宅)が借りられるようです。
低所得の高齢者や障害のある人なら、公営・市営住宅があります。
「ビレッジハウス(低価格の賃貸住宅)」も、入居しやすいようです。
また、国交省の「居住支援法人」では、賃貸物件に入居しにくい高齢者や障害者をサポートする企業や団体を見つけられます。


困ったときの相談先
プレカリアートユニオン

自立生活サポートセンター・もやい

全国青年司法書士協議会 全青司ホットライン
法テラス
感想
「情報は生死を分ける」
そんなことを実感する本だと思います。
生きづらい人は、自分に関係のある社会のセーフティネットを知っておくこと。
そうすれば、いざという時の逃げ道ができて、生き延びることができます。
「今の世の中に生きづらさを感じている人」必見の1冊です。


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