
著者紹介
「元・日本一のニート」と呼ばれたphaさん。
1978年生まれ。 大阪府大阪市出身。現在東京都内に在住。
京都大学総合人間学部を24歳で卒業し、25歳で就職。
できるだけ働きたくなくて社内ニートになるものの、28歳のときにインターネットとプログラミングに出会った衝撃で会社を辞める。
以来毎日ふらふらしながら暮らす。 シェアハウス「ギークハウスプロジェクト」発起人。
本書のほかに『ニートの歩き方 ──お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法』『しないことリスト』など、多数の著書がある。

本の概要
「生きづらい世の中を、ラクに生きるためのコツ」について書かれた本。
今の日本は「社会からのプレッシャー」が生きづらさの要因となっている。
「○○するべき」「「○○しなくてはならない」など。
「普通」とされている生き方は、世の中にたくさんある生き方の1つでしかない。
合わない場所からは逃げて、自分がラクに生きられる場所を探せばいい。
世間体や社会の常識といった、他人の価値観に振り回されてはいけない。
人生を縛る「仕事・家族・お金」に対する価値観を変えれば、ラクに生きることができる。
「日本の生きづらさの要因」「生きづらい人生をラクに生きるための方法」が学べる1冊。
こんな人におすすめ
- なるべく働かず、ゆるく生きたい人
- お金がなくても楽しく暮らしたい人
- いまの世の中に生きづらさを感じている人
学びになった点
社会のプレッシャーが生きづらさに繋がる
今の日本で生きるのがつらい人が多い原因は、単純にお金がないとかいう問題より、 社会を取り巻いている意識や価値観の問題が大きいと思う。 今の社会では、生きていると常に外から内からプレッシャーをかけられているように感じる。
日本の生きづらさの要因の1つとして「社会からのプレッシャー」があります。
- 大学を出て新卒で正社員で就職しないと一生苦労するぞ
- ちゃんと働かないと年をとったらホームレスになるしかない
- 人生が苦しいのは自己責任、真面目に頑張っていればそうはならないはず
phaさんは今の日本社会を「プレッシャーが強くてセーフティネットが弱い社会」と表現しています。
社会を取り巻く「○○するべき」「○○しなければならない」という常識や価値観が、生きづらさの要因となっています。

例外を許さず「普通の生き方」を強要する社会からのプレッシャーは、うつ病や引きこもりを増加させます。
普通のハードルが高すぎて実現できない
普通とされている生き方モデルがすごく高いところに設定されていて、実際にそれを実現できるのは全体の半数以下くらいの人だけでしかないのに、「真面目にやっていればそれをみんな普通に達成できるはず」というプレッシャーが社会全体に漂っている気がする。
(中略)要は、多くの人が普通にこなせないものを「普通の理想像」としてしまっているから、 みんなその理想と現実のギャップで苦しむのだ。そんな現状と合っていない価値観からは逃げていいと思う。 そんな価値観に従うのは自分で自分の首を絞めるだけだ。
今の日本では「普通」のハードルが高すぎて、実現するのが難しくなっています。
- 正社員で入社して、定年まで働くのが「普通」
- 仕事だけでなく、家事や育児もやるのが「普通」
- 給料は年収400万円以上もらえるのが「普通」
このように、多くの人ができないことを「普通のモデル」にしていることが問題なのです。
世間が作った「普通」の価値観に縛られると、自分を苦しめることになります。

私も以前は「普通」の価値観に縛られて「普通の人はできるのに、なんで自分だけできないんだろう…」と、そんな生きづらさを抱えていました。
合わない場所からは逃げていい
「真面目に学校に行ってちゃんとした会社に入ったずっと働き続けて家族を支える」みたいないわゆる「真っ当な」生き方は、 世界にたくさんある生き方パターンの一つでしかないし、そのルートが向いてない人は無理にそれを目指す必要はない。自分に合わない場所で苦しむよりはそこから逃げてもうちょっと自分が楽にいられる場所を探せばいい。世の中に生きる場所は無数にある。僕自身も逃げて楽になった一人だ。
自分に向いていない、合わない場所からは逃げたほうが良いと思います。
なぜなら、合わない場所でいくら頑張っても苦しむだけからです。
私は以前「普通の人生」を歩むために、正社員として会社で働いていました。
会社員は私にまったく合わなかったため、どれだけ頑張っても生活は良くならず、とても辛かったです。
「普通の人生」を諦めて杵築市に隠居してから、無理して働く必要が無くなり、生きるのがラクになりました。
「良い学校に入って、良い会社に就職して、正社員として働く」みたいな生き方は、世の中にたくさんある生き方の1つでしかありません。
「この生き方は自分に合わないな」と感じたら、周囲の理解が得られなくても、早めに逃げることをおすすめします。

家・学校・会社など。
合わない場所で苦しんでいるなら早めに逃げて、自分に合う場所を探しましょう。
世間の価値観に振り回されない
生きるのが苦しくなったときは、世間の価値観や周りの意見にとらわれずに「自分が何が好きか」という感覚をしっかり持つことが大事だ。「自分はこれが好きだ、これをしているときが幸せだ」というものをはっきり持てば充実感を味わえるし、同じような趣味や価値観を持つ仲間もできるし、人との繋がりができればそれが社会の中の居場所として自分を支えてくれる。
自分が人生で優先したいものをハッキリさせれば、世間の価値観に振り回されずに済みます。
なぜなら「幸せに生きるために、自分がやるべきこと」が明確になるからです。
たとえば、私は自分の幸せのために「お金・仕事・人間関係に縛られず、自由に生きること」を優先しています。
だから月5万円以下で生活して、労働を最小限に抑え、あまり人と関わらずに暮らしているのです。
以前の私は「自分は何がしたいのか」「どういう人生を送りたいのか」が分からず、他人の意見に振り回されて疲弊していました。
自分の大切なものを決めて、そのためにやるべきことを理解すれば、世間の価値観に振り回されずに済むでしょう。

幸せに生きるためには「自分が人生で優先したいものは何か」「それを手に入れるためには、どうするべきか」を言語化する必要があります。
知識は人を自由にする
僕が何故本やブログを書いているかというと「知識は人を自由にする」と思っているからだ。(中略)本というのは「自分がぼんやりと気づきかけていることをはっきりと言葉にして教えてくれるもの」だ。本を読んで知識を得ることで、頭の中が整理されたり、考え方の選択肢を増やすことができたり、自分の周りの世界で当たり前とされていることを相対化して見ることができるようになったりする。本を読むことで僕は生きるのが楽になった。
本を読むことで視野が広がり、生きづらさが改善されます。
なぜなら、読書によって新しい知識を得ることで、人生の選択肢が増えるからです。
私の場合、phaさんの『ニートの歩き方』や、大原扁理さんの『20代で隠居』を読んで「こんな生き方もあったのか!」と感銘を受けました。
当時の自分には想像のつかない生き方を知ったことで、人生に新しい選択肢が生まれたのです。
phaさんや大原扁理さんが書いた本を参考にして、杵築市で隠居生活を始めてから、だいぶ生きづらさが解消されました。

「知識は人を自由にする」
私も本を読んで知識を得ることで、自由な人生を手に入れることができました。
選択肢を増やせば、生きづらさは軽くなる
「こんな生き方やこんな考え方もありなんだ」という選択肢の多さを紹介することで、この社会に漂っている「人間はこう生きるべきだ」という規範意識のプレッシャーを少し弱らせて、みんなが自分自身の生き方にも他人の生き方にも少しだけ寛容になって、生きることの窮屈さが少しマシになればいいなと思いこの本を書いた。
選択肢を増やすことで、生きづらさは解消されます。
なぜなら、1つの生き方がダメになって行き詰ったとき、別の生き方を選べるからです。
多くの人は「学校に行って、会社に就職する」しか、選択肢がありません。
しかし、「学校で勉強→会社で働く」という生き方が合わなかったとき、他の選択肢が無いと行き詰ってしまいます。
無職、ニート、引きこもり…これらは学校でイジメられて不登校になったり、会社でうつ病になって働けなくなるなど、普通とされている生き方が合わなかった人たちです。
普通とされている生き方が合わなくても、別の選択肢を持つことで、行き詰まることなく生活できます。

私もphaさんのように「新しい生き方を提案することで人生の選択肢を増やし、生きづらさを軽くしたい」という想いで本を書いています。
仕事は生きるための手段に過ぎない
仕事をするために人生があるのではなくて、より良く生きるための手段の一つとして仕事というものがあるに過ぎない。たまにその目的と手段を取り違えてしまって、働きすぎて病んだり死んだりする人がいるけど、そっちのほうこそもったいないことだと思う。
仕事はあくまでも、人生を良くする手段の1つに過ぎません。
なぜなら、仕事をするために人生があるのではなく、人生を良くするために仕事があるからです。
今の日本では、仕事が原因でうつ病になったり、自殺する人が増えています。
仕事が原因でうつ病になる人は、手段と目的が逆転してしまい「仕事のための人生」になっているのです。
「仕事は人生を良くする手段に過ぎないから、嫌になったらやめよう」
こう考えることができれば、仕事で自分を犠牲にせずに済みます。

私も会社員時代は「仕事のための人生」になってしまい、うつ病になって自殺未遂に至りました。
毒親・毒兄弟からは逃げよう
家族は人の支えにもなるものだけど、ないほうが幸せになれる家族だってある。家族だけが生き方じゃないし家族だけが人生の幸せじゃないので、害になるような悪い家族からはさっさと逃げても構わない。
自分にとって害となるような、悪い家族からは逃げましょう。
悪影響を及ぼす家族の中にいると、人生を破壊されるからです。
毒親・毒兄弟など、家の中に外敵がいる状態では、身体も心も休まらず疲弊します。
私の場合、母から毎日のように暴言や暴力を振るわれ、実の兄からは性被害を受けていました。
「家族は大事にするべき」という意見は、あくまでも「家族に大事にされた場合」のみ適用されます。
自分を大切に育ててくれた親なら、子供側も親を大切にするべきです。
しかし、子供を大切にしない親を「親だから」という理由だけで大切にするのは、間違っていると思います。
毒家族に人生をめちゃくちゃにされる前に、早く逃げましょう。

「家族は大事にするべきだ」という社会の価値観に、私は苦しめられてきました。
お金がなくても楽しく暮らすための心がけ
お金がなくても楽しく暮らすための心がけとして一番大事なのは、「他人と自分を比べない」ということじゃないかと思う。そして他人と自分を比べなくても平気になるためには、「自分の価値基準をはっきり持つ」ということが必要だ。
お金がなくても楽しく暮らすためには「自分の価値基準をはっきり持つこと」。
なぜなら、自分の価値基準をはっきり持つことで、他人と比べなくなり、自分の幸せに集中できるからです。
もし私が自分の価値基準を持たず、他人と比べていたら
「世の中の人と比べて、自分はお金が無くて惨めだ」
「他の人はもっといい生活をしてるのに、自分だけ貧しい生活をしている」
など、不幸を感じてしまうでしょう。
私は自分が幸せになるための価値基準を持っているため、他の人と比べたりせず、幸せに暮らせています。

不幸は「他人と比べること」から始まります。
自分の価値基準をしっかり持てば、お金が無くても楽しく暮らせるでしょう。
人間関係は距離感が9割
誰かと共存できるかどうかというのは距離に左右されるところが大きい。ちょっと苦手な相手でも月に一回会うくらいなら友好的に話せたりするし、気の合う相手でも長時間ずっと一緒にいるとイライラしてきたりもする。棲み分けをするというのは他人と適切な距離を取るということだ。学校でイジメが起きたり家族の中で暴力が振るわれたりしやすいのは、「同じメンバーが同じ場所にずっと集まっていて他の場所に逃げることができない」からだ。
私の考えでは「人間関係は距離感が9割」だと思っています。
なぜなら、距離感によって人間関係は大きく左右されるからです。
私には、仲良くさせて頂いている友人が数人います。
その友人と会ったり話したりするのは、年1~2回程度です。
毎日のように顔を合わせていたら、相手の嫌なところで見えてしまい、どれだけ仲の良い友人でも嫌になってしまうでしょう。
私が友人と仲良くできるのは、ちょうどいい距離感を保っているからです。
人間関係を良くしたいなら「相手との距離感」を見極める必要があります。

人間関係は近すぎると衝突するし、遠すぎると疎遠になってしまいます。
ちょうどいい距離感を見極めて、良好な関係を作りましょう。
まとめ
- 社会を取り巻く常識や価値観といった「社会からのプレッシャー」が、生きづらさの要因となっている
- 今の日本は「普通のハードル」が高すぎるため、みんな理想と現実のギャップに苦しんでいる
- 「学校に行って、会社に就職して、結婚して家庭を持つ」というのは、生き方の1つでしかない。自分が合わないと思ったら、別の場所へ逃げたほうがいい
- 生きづらい人は「自分の価値観」を、はっきり持つこと。世間の価値観に振り回されてはいけない
- 読書によって知識を得れば、新しい選択肢も見えてくる。知識は人を自由にする
- 生き方の選択肢が1つしかないと、その生き方がダメになったとき行き詰ってしまう。生き方の選択肢を増やせば、生きづらさは軽くなる
- いまの日本人は「仕事のための人生」になっており、手段と目的が入れ替わっている。仕事はあくまでも、より良く生きるための1つの手段に過ぎない
- 世の中には「一緒にいると人生がダメになる家族」が、一定数存在する。自分を傷つけてくる毒家族からは逃げたほうがいい
- 自分の価値基準をしっかり持てば、他人と比べなくなり、お金が無くても楽しく暮らせる
- 人間関係は距離感が9割。他人と仲良くやっていくためには、適切な距離を取ることが大事

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