著者紹介
高村友也さん。1982年静岡県生まれ。
東京大学哲学科卒業、慶應義塾大学大学院哲学科博士課程単位取得退学。
2009年に山梨の雑木林に土地を購入し、小屋暮らしを始める。
2018年から東京暮らし、2021年の暮れよりまた小屋暮らしを再開。
本書のほかに、『スモールハウス』『僕はなぜ小屋で暮らすようになったか』などの著書がある。
本の概要
小屋暮らしについてのハウツー(土地の探し方、小屋の建て方など)が書かれた本。
高村さんは「必要最低限の生活」を確立するため、自分で土地を探し、小屋を建てて生活を始める。
家賃さえ無ければ、必要最低限の生活は月2万円で維持することができる。
1か月集中して1年分の生活費(約25万円)稼いで、残りの11カ月は何もしないという選択も可能。
いまの世の中には週1勤務の会社や、必要最低限の設備がついた100万円ぐらいの家といった、社会のレールから外れた人に合うものが極めて少ない。
社会の中に自分に合った既製品(住居・働き方)が無ければ、自分で作るしかない。
社会不適合者が自由を手にするための1つの手段として、Bライフは存在する。
「人間が生きるために必要なものは何か?」を学べる1冊。
こんな人におすすめ
学びになった点
Bライフとは何か?
Bライフとは、安い土地でも買って適当に小屋でも建てて住んじゃおうという、言ってしまえそれだけのライフスタイルだ。
Bライフの「B」は、「Basic(必要最低限)」のこと。
つまり、Bライフとは「必要最低限の生活」を指します。
巷に溢れたシンプルライフ・ミニマルライフと違って、文字通り「生きるための、最低限必要な生活」です。
年に25万円稼げば生きていける
年に25万円も稼げば、最低限生きていける。あとは稼げば稼ぐほど、自由に使えるお金が増える。一カ月間集中して働いて、残りの11カ月寝ていてもいいし、何かちょっとした特技がある人や、インターネットで小遣いを稼ぐのが得意な人は、それすら必要なくなるかもしれない。
高村さんは、「年に25万円稼げば生きていける」と言います。
なぜなら、Bライフを維持するには月2万円で十分だからです。
食費 | 10000円 |
ガソリン | 200円 |
カセットガス | 500円 |
灯油 | 0円~1500円 |
電気・上下水道 | 0円 |
携帯電話 | 1000円 |
インターネット | 5000円 |
銭湯 | 1000円 |
雑費・消耗品 | 1000円 |
年金 | 0円(全額免除) |
健康保険 | 1500円 |
所得税、市民税 | 0円 |
固定資産税 | 0円 |
合計 | 20000円 |
月2万円で生活できれば、年間1~2か月働くだけで暮らせるようになります。
私も高村さんのBライフを参考にして、月3万円ほどで生活しています。
貨幣価値の格差を生み出す
豊かな国・時代であえて低い生活水準を保つことで、周囲との間に局所的な貨幣価値の格差を生み出すのが、Bライフの旨みとも言える。賃貸暮らしの人が「一日働いてたった8000円か…」と嘆いている一方、Bライフでは「一日8000円ももらっちゃっていいの?」ということになる。
生活水準を下げることで、「貨幣価値の格差」を生み出すことができます。
生活水準を下げることで、生活水準が高い人より同じ貨幣でも高い価値を持たせることができるからです。
月2万円で生活する高村さんがバイトで一日8000円稼いだら、月の生活費の約半分になります。
しかし、月10万円で生活する人の場合、一日8000円稼いでも生活費の1/10にもなりません。
このように、生活コストを下げることで「貨幣価値の格差」を作ることができます。
同じ日本円でも私や高村さんの場合、価値が10倍近く違います。
家賃は最優先で下げるべき支出
横になって寝るだけなのに、月に何万円も払って部屋を借りるなんて初期の沙汰ではないと思っていた。
家賃は固定費の中で、最優先で下げるべき支出だと思っています。
なぜなら、ただ寝るだけで月に何万円もお金がかかるからです。
モノを買ったり美味しいものを食べたり、そういった形がある支出なら理解できます。
しかし家賃というのは、何もしなくても月に何万円という高額な支払いが発生してしまうのです。
高村さんは、家賃という最も無駄な支出を無くすために小屋を自作して、家賃0円の生活を実現しました。
私も高村さん同様に「家賃はできるだけ払いたくない」という理由から、日本一家賃が安い町「杵築市」に引っ越しました。
ミニマムライフがもたらす、心の平穏
こういうミニマムな設備は、なぜかすごく落ち着く。必要なものがちゃんとあるという安心よりも、必要でないものがない、必要以上のものがないという平穏の方がずっと大きい。
ミニマムな暮らしは、心の平穏をもたらします。
あれこれ「必要なモノ」が揃っているより、「不要なモノが無い状態」のほうが落ち着くからです。
色んな事態に備えて「必要なモノ」を揃えようとすると、モノが増えて落ち着かない空間になってしまいます。
ある程度割り切って「必要以上のモノがない空間」を作ったほうが、リラックスできます。
部屋の中には極力何も置かないほうが、精神的に落ち着きます。
食費は月1万円あれば十分
月1万円の食費があれば生命史上稀に見る高水準の食事が摂れるし、安物のカセットコンロ一つあれば死なないどころか大抵のものは作れる。
食費は月1万円あれば、問題なく生活できます。
必要最低限の食料は、嗜好品と違って安く手に入るからです。
米・水・塩といった食料は、生産力の向上によって安価で売られるようになりました。
嗜好品を買わず、最低限の食べ物だけであれば、月1万円で十分足ります。
私も一汁一菜を基本とした、最低限の食事で済ませているため、食費は月1万円ほどです。
贅沢品に人生を支配されてはいけない
コーラが好きだからと言って最初から毎月3000円をコーラ代に計上して生活設計のすべてを考え、必ず毎日コーラが飲めるように自分自身を制御するとなると、コーラに支配されてしまう。そうしていろいろなものに支配されていくと、毎月必要なお金は5万、10万、20万と膨れあがり、不必要な生活水準を維持するためだけに働くことになり、結果、寝転がっていられなくなる。(中略)楽しみのための贅沢品が肥大化して、義務としてのしかかってきて、愛しいミニマムライフが壊されるようなことになっては、元も子もない。
生活が贅沢品に支配されると、自由が無くなります。
不要な生活水準を維持するために、長時間働く必要が出てくるからです。
贅沢品が増えると生活費が5万、10万と増えていき、その生活費を稼ぐために働かねばなりません。
生活を楽しむための贅沢品が、私たちから自由を奪っていくのです。
不要な贅沢品は削り、ミニマムライフコスト(必要最低限の生活費)を下げることが、自由への近道です。
規則正しい生活は不要
規則正しい生活が肉体的健康や精神的健康に良いというのはでたらめで、せいぜい言えるのは、規則正しい社会生活には、規則正しい家庭生活が必要である、この程度だろう。むしろ、目的がなんにせよ、朝目覚まし時計の不快音で起こされることほどその日一日の体調と気分を台無しにすることはない。
規則正しい生活は、必要ありません。
その人に合ったライフスタイルは、人によって違うからです。
一般的に、早寝早起きが健康に良いとされていますが、合う人もいれば合わない人もいます。
寝たい時に寝て、起きたい時に起きる。
それが一番、動物として自然なライフスタイルです。
私も目覚ましに起こされるのが嫌なので、アラームはかけずに自然と目が覚めるまで寝ています。
何事も完璧を目指さない
衣類は、水でガシャガシャやって汚れの8割を落とし、ちゃんと天日で干せば、Bライフ的には何の問題もない。残りの2割を落とそうとすると、その何倍も金と労力が必要になる。
何事も、完璧を目指さない方が良いと思います。
なぜなら、完璧を目指すと多大な費用・労力が必要となるからです。
たとえば洗濯なら、水で手洗いすれば大抵の汚れは落ちます。
しかし、完璧に汚れを落とそうとすると洗剤や洗濯機が必要となり、何倍もの費用が必要となります。
完璧を目指さず、80点ぐらいの出来を目指したほうが、費用対効果が良いです。
何事も完璧を目指すとキリがないので、いい塩梅で折り合いをつけたほうがラクに生きれます。
自分の居場所は、自分で作ればいい
社会不適合者に適当な、週一日勤務の会社であるとか、必要最低限の設備がついた100万円くらいの家とかいったものが、日本には極めて少ない、また、あったとしてもいろいろな意味で認められていない。ジャストサイズの既製品がなければ、面倒でも不細工でも、自分で作るしかない。
自分の居場所が社会に無ければ、自分で作ればいいと思っています。
いまの世の中には、社会不適合者に合う家や会社が不足しているからです。
週5日働けない人が週2日だけ働ける会社や、100万円ぐらいで買えるミニマムな家など。
既存の製品・生き方は多数派に合わせて作られているため、少数派に合うものは少ないです。
自分に合う既製品が無ければ、自分で作るしかありません。
私も今の世の中に居場所が無かったので、自分の居場所は自分で作りました。
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