『天-天和通りの快男児 17巻』
著者紹介
漫画家の福本伸行さん。
ギャンブル漫画の第一人者として知られる。
大金や命をかけて勝負するシーンでの人間の本性、リアルな心理描写を描く作風が魅力であり特徴的。
本書の他に、「アカギ ~闇に降り立った天才~」「賭博黙示録カイジ」など、多数の著書がある。
本の概要
53歳という若さで早発性のアルツハイマー病にかかってしまった、天才雀士「アカギ」。
アカギは自分の意識を失う前に「マーシトロン」という安楽死装置を使って、自らの生に終わりを告げようとする。
アカギの自殺を止めるために力強い説得を試みる、かつての仲間達。
「死にたいアカギ」に対して「アカギに生きていて欲しい仲間達」と、生と死の問答が繰り広げられる。
「死とは何か?」「生命とは何か?」、死生観を学ぶことができる1冊。
こんな人におすすめ
学びになった点
能力を失って生きる方が よっぽど残酷よ…! 死んだ方が…生き物としては救いなんや…!
人は歳をとるにつれて、人としての能力を失っていきます。
自分の力で生きれなくなった状態で、生き続けることは果たして幸せなのか?
誰かの世話になるぐらいなら、自活できなくなった時点で人生を終わりにしたいと思っている人は、少なからずいるはずです。
アカギはアルツハイマーで人としての機能を失う前に、自ら人生を終わらせることを選びました。
自分に置き換えてみても、誰かの迷惑になるぐらいなら、そこまででいいと思っています。
自分が人としての能力を失う前に死ぬことが、人によっては救いになることもあるのです。
日本で安楽死は認められていませんが、無理に長生きするぐらいなら、私はあってもいいと思います。
どこどこまでも生きなくたっていい…! そうさ…その幻想が…どれほど人を苦しめてきたことか…!
世の中の多くの人は、「○○歳までは生きたい」と思って生きています。
しかし、その「○○歳までは生きたい」という先を見据えた生き方が、苦しみの原因となっています。
なぜなら、未来に縛られることで、今を自由に生きることができなくなっているからです。
「100歳まで長生きしたい!」と思ったら、老後を踏まえて若いうちに休みなく働いたり、やりたいことを後回しにするなど我慢が必要になります。
本来であれば人は自由に生きて、自由に死んでいきたいはずです。
「○○歳まで生きたい」という縛りを無くせば、人はもっと自由になれます。
未来を考慮すると今が犠牲になって、結果的に不幸になります。
幸せに生きるためには、「今、この瞬間」を大事にすることです。
生きてる以上…生きたいという気持ちは 完全には消せない…! 「3」くらいは混ざる 混ざらざるを得ない…!
アカギは原田から「生きたい気持ちは1%も無いのか?」という質問に対して、「3」はあると答えます。
生きている以上、生きたいという気持ちを完全に消すことはできないからです。
もうこれ以上長生きしなくていいと思っても、人として生を受けた以上「3」は生きたい気持ちが残ってしまう。
死の味だと思って受け入れるしかない、仕方のない「3」なのです。
生に対する執着を完全に無くすのは、難しいことです。
多少の未練が残ってしまうのは、人として自然だと言えます。
この本を読んで変わったこと
未来よりも今を大事にするようになった
私は生きづらさの原因の1つとして、「未来への不安」が挙げられると思っています。
未来のことを考えると、自分が本当に生きたい人生が送れなくなるからです。
人生50年だった時代と比べて、人生100年時代となった現代は若いうちに資産形成して、老後に備えなければならないようになりました。
若い頃から好きなように生きたいと思っても、定年後のことを考えると我慢して会社で働かなければいけません。
しかし、老後のために資産を貯めようとすると、20代~40代ぐらいの「人生で一番旬な時期」が犠牲になってしまいます。
もし「○○歳までは生きたい」という願望を無くせば、あらゆるしがらみから解放されて、「今、この瞬間」から好きな人生を送ることができるでしょう。
「たとえ長生きできなくても、いつ死んでも後悔が無い人生を送ろう」と思えば、未来のために今を犠牲にせず済みます。
老後2000万問題など、現代人は長寿化の影響により老後のための蓄えが必要となりました。
つまり、今の若い人たちは「長すぎる老後」に苦しめられているのです。
未来のことは考えず、たとえ明日死んでも後悔が無いように生きれば、「今、この瞬間」から好きな人生を選ぶことができるでしょう。
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