

著者紹介
大原扁理さん。
高校を卒業後、コンビニでアルバイトをしながら引きこもりとして過ごす。
3年間の引きこもり生活によって失語症気味となり、荒療治で世界一周の旅に出る。
世界一周の旅を終えた後は、特に目的もなく上京。
家賃7万円のシェアハウスで暮らすも生活費が高く、忙しいアルバイトに追われる日々を過ごす。
家賃のために働く生活に嫌気が差して、家賃28000円のアパートに引っ越しを決意。
週2日だけ介護の仕事をして、1カ月7万円ほどで暮らす「隠居生活」を始める。
本書のほかに『年収90万円で東京ハッピーライフ』『なるべく働きたくない人のお金の話』など、著書多数。
本の概要
大原さんが実践する「隠居生活」について書かれた本。
世の中のほとんどの問題は、「お金の問題」に行き着く。
従って「お金が無くても生きていく方法」を身に付けることで、あらゆる問題は解消される。
生活コストを下げてミニマルに暮らせば、週2日働くだけで生きていくことはできる。
隠居するというのは「お金が無くても生きていく方法を探す旅」である。
「低年収でも豊かに暮らすコツ」「お金をかけずに生活する実践的な方法」を学べる1冊。
こんな人におすすめ
- セミリタイア、FIREに興味がある人
- なるべく働かず、自分のペースで生きたい人
- 社会の中でうまく生きられず、生きづらさを抱えている人
学びになった点
隠居生活について
隠居と聞いて、みなさんはどんな生活を想像されますか。(中略)起きたいときに起きて、食べたいときに食べ、お茶を飲みながら今日は何をしようかと心を膨らませる。何にも左右されない、どこまでも自由な生活。老人ということだけを除けば、私の毎日も、だいたいそんな感じです。
隠居生活とは「最低限だけ働き、自分の好きなように生きる」こと。
何にも左右されない、自由な生活です。
私の生活も大原さんと同じで、
- 朝は目覚ましを使わず、自然と起きるまで寝る
- 時間に関係なく、食べたいときに食べる
- 1日の予定は気分次第。仕事するも遊ぶも自由
こんな感じで、自由に暮らしています。


「何物にも邪魔されない、自由な時間を過ごす」
それが隠居生活の醍醐味です。
自分を使えば、お金は使わなくてOK
節約生活のポイントは、自分でできることはできるだけ自分でやる、ということです。お金はないけど、今たまたま手元に時間はあるから、時間を使う。逆に時間がなくてお金のある人は、お金を払って洗濯でも料理でも事務仕事でも人にやってもらえばいいですし。
節約生活の基本は「自分で出来ることは、できるだけ自分でやる」こと。
なんでも自分でやれば、そんなにお金はかからないからです。
たとえば、最近ノートパソコンのバッテリーを交換したのですが、かかったのはバッテリー代だけでした。
しかし、これをプロに頼むと工賃だけで何万円もかかります。
人を使わず自分を使えば、余計なコストを払わずに済みます。


隠居生活は、お金は無くても時間ならあるので、DIY(できることは自分でやる)が基本です。
食費は1日300円
一日の食費は、だいたい300円くらいでやりくりしています。多くても500円以下。この間ゴディバのショウケースを見たら、チョコレートが一粒300円前後でしたので、みなさんがあの一粒に使う金額で私は一日過ごしているわけです。
食費は1日300円ぐらいあれば、問題なく暮らせます。
著者の大原さんは玄米菜食を中心にした質素な食事をして、食費は1日300円だったそうです。
私も一汁一菜を基本とした食生活にしてから、物価高の今でも月の食費は1万円前後で収まっています。
贅沢せず質素に暮らせば、食費は月1万円ぐらいあれば十分です。


私の場合「一汁一菜」と「1日1食」を組み合わせて、食費を節約しています。
「欲しいもの」より「必要なもの」を買う
買い物をするときのポイントは、「欲しい・欲しくない」「あると便利・ないと不便」で考えるのではなく、「必要かどうか」で判断することです。ですから、食材以外のものはあまり買いません。後述しますが、このあたりは海外を放浪していたバックパッカー時代に養われた「余分なものは持たない」精神の表れだと思います。
買い物するときのポイントは「必要なもの」と「欲しいもの」を分けること。
衣食住など「生活に必要なもの」だけなら、そこまでお金はかかりません。
「生活に必須ではない欲しいもの」まで買ってしまうと、一気に支出は増えます。
私も大原さん同様に、バイク旅・海外放浪などを通して「必要なもの」を見分ける目が鍛えられました。


「必要なもの」と「欲しいもの」の見分け方は、買うときに悩むかどうか。
スマホや仕事で使うパソコンなど、本当に必要なものなら買うときに悩みません。
隠居流趣味の見つけ方
毎日あくせく働かなくても楽しく生きていくためには、お金のかからない、かつひとりでも没頭できる趣味を見つけるのが得策です。
まずは読書です。これはひとりでできる、お金がかからない、時間や場所を選ばない、しかも傍から見ると、単なる暇つぶしをしているだけなのに頭が良さそうに見える、ということで最強の趣味と言えるでしょう。
お金が無くても楽しく暮らすコツは「お金のかからない趣味」を見つけることです。
お金のかかる趣味を持つと、その分たくさん働かなければなりません。
私は次のような趣味を持っているため、お金をかけずに余暇時間を楽しむことができています。
- 読書…図書館に行けば本が無料で読める
- 料理…自分で作れば安くて美味しいものが食べられる
- 勉強…自分の好きな、興味のあるジャンルを学ぶのは楽しい
- 創作活動…ブログ、YouTube、本の制作。どれもお金はかからない
- フリーゲーム…ふりーむ、フリーゲーム夢現など。無料で面白いゲームがプレイできる
お金をかけずにできる趣味を持てば、お金が無くても楽しく暮らせます。


娯楽にお金をかけてしまうと生活コストが上がり、過剰な労働を強いられることになります。
人間関係は距離感が9割
距離をとることの利点は、他人にあまり腹が立たなくなることです。
たとえば家族でも友人でも、近くにいすぎるといまいち距離感がわからなくなり、「なんで体調悪いのに病院行かないんだろう?」とか、「彼女でもつくればいいのに」とかいう瑣末なことが気になって、ちょっとおせっかいなことを言ってみてはウザがられる場合があります。
ところが適度に離れていると、「それは他人が決めること」という基本的なところを見失わずに済みます。
「人間関係は距離感が9割」だと考えています。
なぜなら、距離感によって人間関係は大きく左右されるからです。
どれだけ仲の良い友人でも、距離感が近くなりすぎると相手の嫌なところが見えてしまい、険悪なムードになります。
逆に仲の悪い人でも、距離をとれば関わることが減るため、あまり気にならなくなります。
良好な人間関係を保つためには「適切な距離感を保つこと」。
距離感さえ間違えなければ、人間関係のトラブルに遭うことは無くなるでしょう。


私は仲の良い友人でも、年に1~2回しか話しません。
適切な距離感を保つことで、良好な人間関係を築けています。
「異常が普通」になってしまった日本
以前、20代の知り合いにこの時期の話をしたら、「12時間労働?そんなのフツーだよ」と一蹴されてしまいました。
フツーじゃない場所にいると、それがフツーになってしまう。すごく怖いことですが、今は珍しくもないことなのだと思います。
いまの日本は「異常が普通」になっていると思います。
サービス残業、休日出勤、上司のパワハラ、同僚からのイジメ。
「忙しすぎてご飯も食べられない」「仕事を頑張りすぎて倒れた」など、ありえない話がまるで日常茶飯事のように語られています。
私は上記のような状況を、地元の友人に仕事の相談をしたら、
「そんなの普通だろ。お前のところなんてまだマシだ。こっちは残業100時間超えてるぞ」
と言われたことがあります。
普通じゃない場所にいると「異常が普通」になってしまうのです。


周りがなんて言おうが、自分から見て「普通じゃない」と思う場所からは逃げましょう。
健康が一番の節約
健康でいることが、長い目で見れば一番の節約になると思っています。目先の安さに惑わされて悪いものを食べ続けて、結果病気になってしまったら、節約もあったものじゃありません。そのときにかかるお金と時間と体力を考えると、健康でいるためなら、少しくらいの出費は辞さないことにしています。
私は「健康でいること」が、一番の節約になると思っています。
なぜなら、健康を失って病気になると、高額な治療費を払うことになるからです。
いくら節約になるからといって、食パンやインスタントラーメンばかり食べていたら、体調を悪くします。
節約によって身体を悪くして、病気を治すために高額な治療費を払うのは、本末転倒です。
健康を維持することが、結果的に一番の節約になります。


節約生活は「健康第一にする」こと。
自分の身体が一番の財産です。
過剰な労働によって奪われるもの
職場は、この漠然とした社会は、私たちを守るどころか、時間を、お金を、余裕を奪っていくだけじゃないか。そんなもんのために一生懸命働く必要がどこにあるのでしょう。わけわからん。
過剰な労働は、私たちから余裕を奪っていきます。
期限に間に合わない仕事量、休憩すら取れない人員不足、など。
いつもは普通の人でも、忙しい職場にいると心の余裕が無くなり、おかしくなってしまうのです。
大原さんは本屋でバイトをしていたとき、おかしくなってしまった同僚から嫌がらせを受けて、蕁麻疹が出るようになったと言っています。
私も会社員時代に、無理して働き続けたせいで心も体も壊しました。
私たちから余裕を奪っていく忙しい職場からは、正気を失う前に離れましょう。


忙しいとは「心を失う」と書きます。
忙しすぎて心を失うような職場で働く必要はありません。
隠居とは「お金が無くても生きていく方法を探す旅」
私がずっと知りたかったのは、お金がなくても自由になれる方法でした。だって、生活が苦しい理由ってそれぞれたくさんあると思うけど、突き詰めると、必ず「お金がないから」っていうのに突き当りますよね。(中略)
隠居するということは、この、「お金をかけなくても生きてはいけるようにする方法」を模索する旅でもありました。
隠居とは「お金が無くても生きていく方法を探す旅」です。
「給料が安くてツラい」「仕事が長続きしない」など、生活が苦しいときは「お金が無い」という問題に行き着きます。
ほとんどの悩みが「お金の問題」だとしたら、お金が無くても生きていけるようにすれば、あらゆる悩みは解消されます。
私は月3万円の生活スタイルに変えてから、仕事・人間関係などの悩みが無くなり、生きるのがラクになりました。


お金が無くても自由になるためには「隠居する」という手段が最適解だと思います。
週2日だけ働けば、生活には困らない
あんまりお金がかからないなら、それに伴ってがむしゃらに働かなくてもよくなります。ほとんど毎日働いて20万円も稼がなくても、週2日くらい働いて7~8万円もらえれば、とりあえず生きてはいけます。
生活コストを抑えることで、あまり働かなくても生きていけます。
大原さんは生活費を7万円ほどに抑えて、訪問介護の仕事を週2日やって生活していたそうです。
私の場合だと、生活費は1カ月約3万円。
12月~3月の冬の間だけ沖縄の離島で働き、年収は90万円ほどです。
年収100万円以下でも生活費が少なければ、普通に生きていくことはできます。


私は大原さん同様に生活コストが少ないため、年間100日ぐらいの労働で暮らせています。
21世紀版都市型隠居
郊外の小さな安アパートを借り、
週に2日だけ働き、
人に迷惑をかけず、
友人は厳選した人が少しおり、
携帯は持たず、
テレビも持たず、
社交をせず、
たまには都会に出ていって贅沢もするが、
基本的に欲はなく、
こだわらない。
ただひとつだけ、現代社会と距離を置くことに、貪欲にこだわる。
そして自分の生活をこよなく愛し、楽しんでいる。こんな感じです。ザ・人畜無害!
大原さんが定義する「21世紀都市型隠居」です。
私の隠居生活も「携帯は持たず」以外は、大体当てはまっています。
郊外の安アパートに住み、不要な欲は捨て、社会と距離を置き、誰にも邪魔されない自分だけの時間を楽しむ。
それが、大原さんが定義する「21世紀版都市型隠居」です。


色んな生き方を試しましたが、私は隠居がもっとも性に合っていました。
まとめ
- 隠居生活とは「最低限働き、自分の好きなように生きること」である
- 節約生活の基本は「自分で出来ることは自分でやること」。自分を使えばお金を使わずに済む
- 玄米菜食など質素に暮らせば、食費は1日300円ぐらいでも生活できる
- 買い物するときのポイントは「欲しいもの」より「必要なもの」を買うこと
- 読書など「お金をかけず一人でも出来る趣味」を見つければ、お金が無くても楽しく暮らせる
- 人間関係は距離感が9割。距離感によって人間関係は左右される
- 12時間労働が当たり前のような、普通じゃない場所にいると「異常が普通」になってしまう
- 病気になると、それを治すためのお金や時間を失う。健康が一番の節約である
- 休憩もロクに取れないような忙しい仕事は、私たちから心の余裕を奪っていく
- 隠居とは「お金が無くても生きていく方法を探す旅」のこと
- 生活コストを下げてミニマルに暮らせば、週2日働けだけで生活できる
- 郊外の安アパートに住み、不要な欲は捨て、社会と距離を置き、誰にも邪魔されない自分だけの時間を楽しむ。それが「21世紀版都市型隠居」である


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