著者紹介
大原扁理(おおはら へんり)。
1985年生まれ。
高校卒業後、3年間引きこもりを経験。
現状を変えるために、バックパッカーで世界一周の旅に出る。
帰国後は東京へ上京するも、高い家賃を払うために多忙な日々を過ごす。
余裕のない日常に疑問を感じ、郊外にある家賃2万8000円のアパートへ引っ越して、週休5日の隠居生活を実現した。
『年収90万円で東京ハッピーライフ』『20代で隠居:週休5日の快適生活』など、著書多数。
本の概要
年収100万円以下で生活する著者が、お金についての考え方を書いた本。
人生はお金がすべてではないが、お金がなければ生活は成り立たない。
ただ漠然と働いてお金を稼ぐのではなく、「自分はどう生きたいのか?」を考えて「自分らしく生きるためには、お金はいくら必要なのか?」を導き出すことが重要である。
お金というのは目的を達成するための手段に過ぎず、お金を目的にすると人生の本質を見失ってしまう。
「働きたくない人は、お金とどう向き合っていけばいいのか?」を学べる一冊。
こんな人におすすめ
学びになった点
お金を稼ぐ目的
いくら稼ぐか、節約するかよりもまず、自分がどうありたいのかを洗い出していくこと。お金のことだけを見ていると、人生の本質を見失います。
「自分はどう在りたいのか?」を考えずにお金を稼いでも、意味はありません。
お金というのはあくまでも「目的を達成するための手段」に過ぎないからです。
「何のためにお金を稼ぐのか?」「稼いだお金を何に使うのか?」といった目的をハッキリさせない限り、いくらお金を手に入れても幸せにはなれません。
世の中の多くの人は年収を上げることに必死で、「自分にとっての幸福は何か?」という人生の本質を見失っているように見えます。
人生で大事なことは「自分らしく生きること」です。
自分らしく生きるためには、まず「自分はどう在りたいのか?」を言語化する必要があります。
「自分らしく生きる条件」を言語化して、それに向かって突き進むことが大事です。
お金を稼ぐ前に「自分の幸せは何なのか?」「それを手に入れるためには、いくら稼げばいいのか?」といった目的をハッキリさせましょう。
考えるより行動が大事
何かを始めようとするとき、完璧な条件がそろうのを待っていると、行動するタイミングを逸します。隠居をスタートされたときの私の願いは、「もうこんなに働きたくない」ということだけでした。
何かを始めるときは、計画を立てるより行動することが大事です。
どれだけ綿密に計画を立てても、計画通りにいかないことがほとんどだからです。
私も大原さん同様に、隠居生活を始めたきっかけは「どうすれば働かずに生活できるだろう?」というものでした。
しっかり計画を立てて行動したわけではなく、行動しながらその都度改善してきました。
「行動→改善→行動→改善…」と繰り返していくうちに、自然と自分の理想に近づいていきます。
計画のかける時間はほどほどにして、まずは行動するクセをつけましょう。
「百聞は一見に如かず」の通り、新しいことをするときは「体験」するのが一番です。
やりたくないことは、やらない
「やりたいことができないのがイヤなんではなく、やりたくないことをしなきゃいけないのがイヤだったんだな。」ということがわかりました。(中略)それ以来、私は満足の最低基準を「好きなことをしているか」ではなく、「イヤなことをしないでいられるか」で判断しています。
幸せに生きるには「やりたいことをやるよりも、やりたいないことをやらないこと」が重要です。
なぜなら、「やりたいことをやる幸福」よりも「やりたくないことをやる不幸」のほうが大きいからです。
以前の私は「自分の好きなこと、やりたいことをやれば幸せになれる」と思っていました。
しかし、自分が好きな車を買ったり、長年の夢だったバイク旅をしても幸せにはなれませんでした。
自分の「やりたいこと(モノを買う、旅をする)」を叶えるために、「やりたくないこと(労働)」もやっていたからです。
どれだけ「やりたいこと」をやったところで、「やりたくないこと」も混ざっていれば、幸せにはなれません。
幸せに生きるには、まず「やりたくないこと」を人生から無くすことです。
「好きなことで生きるより、イヤなことで死なない」
大原扁理さん『年収90万円で東京ハッピーライフ』より
他者からの承認を求めないこと
東京での六年間の隠居生活が破綻しなかった理由のひとつは、社会や他人からの「いいね!」を求めなかったことだと思います。
自分らしく生きるためには、他者からの承認を求めないことです。
他者からの承認を求めた生き方をすると、他人の人生を生きることになります。
世間体を気にする人は「自分はこう生きたい」と思っても、周囲の声が気になって行動に移すことができません。
物事を決める基準が他人にあると、自分で決める力を奪われて人生を見失います。
理想の人生を手に入れるためには、他者の承認を求めず「自分で自分の人生を決めること」です。
私たちは、他人の期待に応えるために生きているわけではありません。
周囲の目は気にせず、あるがままの自分で生きましょう。
週二日働けば生きていける
週二日働けば、必要最低限のお金が稼げることがわかっているのに、年に数回とはいえ、それ以上働く理由って、いったい何でしょうか。
生活するだけのお金が稼げれば、それ以上働く必要はありません。
人間の本来の活動は労働ではなく、余暇時間の中にあるからです。
イギリスの哲学者ラッセルは『怠惰への讃歌』の中で、「労働時間を減らして、遊びや思索に費やすべきだ」と主張しました。
これを実践していたのが『ウォールデン 森の生活』を書いた、ヘンリー・D・ソローです。
ソローは1年のうち6週間だけ働いて、残りの時間は研究や執筆活動に使っていました。
労働を最小限に抑えて、余暇時間を増やすことが幸福につながります。
「仕事のための人生」ではなく「人生のための仕事」という考えを持ちましょう。
正誤で判断するのをやめる
正しさや意味を押し付けてくる風潮に対して、一番ラクな対応は「全スルー」です。自分の生き方に、正しい/間違いの判断を持ち込まないこと。そうした判断から解放されていると、社会や流行に振り回されることがなくなります。
物事を「善悪」や「正誤」で判断することをやめると、精神的にラクになります。
「自分は正しい、あの人は間違っている」といった考えを持っていると、視野が狭くなり、ストレスの原因となるからです。
私の場合は「正しい or 間違い」ではなく、「自分に合うか or 合わないか」で判断しています。
こう判断することで「あの人が間違っているわけではなく、たまたま自分に合わないだけだ」と、相手も自分も責めなくなります。
そもそも、この世に「正しい人生」とか「正しい意見」なんてものは存在しません。
マナーや常識というのは、社会が勝手に作り出した「ただの幻想」です。
もし自分の意見を押し付けてくる人がいたら、変に反論せずスルーしましょう。
人の数だけ「何が正しくて、何が間違っているか」という価値観は存在します。
何か言われても「自分は違うけど、この人はそういう考えなんだな」と、スルーするのが一番です。
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