『天-天和通りの快男児 18』
著者紹介
漫画家の福本伸行さん。
ギャンブル漫画の第一人者として知られる。
大金や命をかけて勝負するシーンでの人間の本性、リアルな心理描写を描く作風が魅力であり特徴的。
本書の他に、「アカギ ~闇に降り立った天才~」「賭博黙示録カイジ」など、多数の著書がある。
本の概要
53歳という若さで早発性のアルツハイマー病にかかってしまった、天才雀士「アカギ」。
アカギは自分の意識を失う前に「マーシトロン」という安楽死装置を使って、自らの生に終わりを告げようとする。
アカギの自殺を止めるために力強い説得を試みる、かつての仲間達。
「死にたいアカギ」に対して「アカギに生きていて欲しい仲間達」と、生と死の問答が繰り広げられる。
18巻では、富と権力を手に入れた暴力団組長「原田克美」と、秀でた才能がない凡人「ひろゆき」。
「成功を積み上げてきた人」と「失敗を恐れて行動できない人」、そんな対照的な二人が抱える葛藤が現代人に深く突き刺さる。
「成功とは何か?」「人生で大事なことは何か?」、人生の本質を学ぶことができる1冊。
こんな人におすすめ
学びなった点
お前は「成功」という名の棺の中にいる…!動けない…もう満足に…お前は動けない…!死に体みてえな人生さ…!
成功を積み上げすぎると、人は自由に生きられなくなります。
なぜなら、今まで積み上げてきた「成功」が、成功し続ける人生を要求してくるからです。
富や権力を手に入れた暴力団組長の原田は、やらなければいけない義理や付き合いに追われて、半年先までスケジュールが埋まっています。
悲しいことがあっても泣けず、怒りが込み上げても感情を押し殺して我慢するしかない。
ありのままの自分を隠して、ストレスだらけの日々を送るしかありません。
時には敢えて失敗したり、ゆっくりする選択肢もあるはずなのに、成功者は大物らしく振舞うことを要求される。
成功を積み過ぎた人間は「成功」に人生を支配され、身動きが取れなくなってしまうのです。
最初の1か2の成功は「生」の輝きとつながっていますが、それ以上になると成功そのものが人生の枷となります。
その「まとも」…「正常であろう」っていう価値観と自分の本心…魂との板挟みに苦しんでいたんだ…! 振り回されてきた…!その「まとも」「正しさ」に…!
「まともであろう」「人から非難されたくない」こんな思いが、人を縛りつけ苦しめます。
周囲の目線を気にして自分を押し殺した結果、自分の人生を生きれなくなるからです。
「本当は仕事なんてせず、もっと自由に生きたい」と思っても、世間体を気にしてしまうと、自分の好きなように生きることはできません。
しかし、元々「正しい人生」とか「正しい人間」なんてものは、この世に存在しないのです。
それらは時代時代で必ず表れる、一種の「集団催眠」のようなもの。
アカギは真面目なひろゆきに対して、「もっといい加減になればいい」「ダメ人間になっていい」と助言します。
「正しく生きよう」「まともでありたい」こう思えば思うほど、本来の自分の生き方から遠ざかり、苦しむことになるでしょう。
私も以前は「普通でありたい」「まともでありたい」と思って自分の行動を制限した結果、他人の人生を生きることになり苦しんできました。
人はもっと「いい加減」「ダメ人間」になっていいのです。
いいじゃないか…!三流で…!熱い三流なら 上等よ…! 恐れるなっ…!繰り返す…!失敗を恐れるな…!
人生において、成功や失敗を気にする必要はありません。
お金や名声といった世間的な成功は、人生の飾りに過ぎないからです。
誰しも富や権力に憧れますが、アカギは「それは人生そのものじゃない」と指摘します。
人生で大事なのは成否に囚われず、「ただやる事」「熱意を持って生きること」。
成功や失敗に囚われて行動できなくなってしまったり、熱を失ってしまうことのほうが問題なのです。
ただ自分が良いと思ったこと、熱意を持てることだけをやればいい。
成功や失敗を気にせず熱意を持って行動することが、「生きる」ということだからです。
みんなお金や地位など社会的な成功を目指しますが、それらは人生の飾りであって「人生そのもの」ではありません。
人生において大事なのは、「熱意を持って、ただ行動すること」だけなのです。
この本を読んで変わったこと
「まともでありたい」とは思わなくなった
以前の私は「周りからバカにされない、普通の人間になりたい」と思っていました。
しかし、「普通でありたい」「周りから変なヤツだと思われたくない」と思うほど、本来の自分からは遠ざかり苦しむことになったのです。
- 「お昼ごろまで寝ていたい」と思っても、そんなに寝てるとおかしいヤツだと思われるから仕方なく起きる
- 「仕事なんてしないで、家でゆっくりしたい」と思っても、働かないと周りから非難されるので嫌々働く
- 「みんなといるより、一人でいるほうが楽しい」と思っても、和を乱さないように無理して集団の中にいる
「正しい人間」とか「正しい人生」なんてものは、世間の多数派が作り出した幻想に過ぎません。
周りに合わせるために、無理して「まともであろう」とする必要は無いのです。
世の中の多くの人は世間体に縛られ、自らを抑制して自分の人生を生きれなくなっています。
自分の人生を生きるためには、「まとも」であることをやめることです。
成功や失敗に囚われなくなった
かつては「お金持ちになりたい」「周りから凄いヤツだと思われたい」など、そういった分かりやすい成功に憧れていました。
しかし、本書を読んだ今では成功したいとは思いません。
なぜなら、お金とか地位といった社会的な成功は、ただの飾りであって「人生そのもの」ではないからです。
しかも成功は積み上げれば積み上げるほど、「成功者」としての振る舞いを要求されて、身動きが取れなくなります。
人生において大事なのは、「成功や失敗に囚われず、熱意を持ってただやる事」。
成功を目指さず失敗を恐れず、人生の実は「ただ生きること」の中にあるのです。
「成功したい」と思うと才能や人の目など、あらゆる障害に阻まれて行動できなくなります。
成功や失敗に囚われず、ただ自分が良いと思ったこと、熱意を持てることをやればいいのです。
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