著者紹介
ミニマリストの佐々木典士さん。
モノが手放せない典型的なマキシマリストだったが、多くのモノを断捨離したことで人生が好転し、ミニマリストの道へ進む。
ミニマリズムについて記すサイト「ミニマル&イズム less is future」を運営。
著書「ぼくたちに、もうモノは必要ない。」は、世界23カ国で翻訳されて累計40万部のベストセラーとなった。
本の概要
「ミニマリズム」「モノの手放し方」について書かれた本。
ミニマリズムは「目的」ではなく、自分が大切にしたいものを手に入れるため「手段」に過ぎない。
自分に必要なもの・大事なものが分かっていて、それ以外を減らす人を「ミニマリスト」と呼ぶ。
モノを増やし過ぎると維持・管理に追われて、時間やエネルギーを奪われてしまう。
増えすぎたモノに人生を奪われ、いつしか「モノが主人」となり、自分は「モノの奴隷」となる。
「モノの奴隷」にならないためには、必要なモノだけを残して、それ以外は手放すことが必要である。
モノを手放すことは「技術」であり、著者が実践する「モノを手放す80通りの方法」が載っている。
- モノを手放す技術
- ミニマリズムのメリット
- モノでは幸せになれない理由
など、ミニマリズムについて幅広く学べる1冊。
こんな人におすすめ
学びになった点
モノを持ちすぎると、時間とエネルギーを奪われる
モノを手に入れるため、手に入れたモノを維持・管理するために、ぼくたちは時間もエネルギーも使い果たしている。その努力があまりに懸命なので、道具だったはずのモノたちは、いつしかぼくたちの主人となってしまう。
映画『ファイト・クラブ』のタイラー・ダーデンはこう言った。
「お前は結局、お前が持っているモノに所有されることになる」
モノを持ちすぎると、生きづらくなります。
なぜなら、モノを維持・管理するためには、時間やエネルギーが必要だからです。
上記の例のようにモノを所有することで、多大なリソース(資源)を奪われます。
モノを持ちすぎた結果、タイラー・ダーデンの言葉通り「モノに所有される」ことになるのです。
モノを増やし過ぎると維持・管理に追われて、「モノを所有している」ではなく「モノに所有されている」状態になります。
ミニマリストの定義について
ぼくが思うミニマリストは、ただ他人の目線だけを気にした「欲しい」モノでなく、自分が本当に「必要」なモノがわかっている人。大事なものが何かわかっていて、それ以外を「減らす」人のことだ。
ミニマリストの定義は、「欲しいモノ」ではなく「必要なモノ」が分かっている人。
「自分にとって必要なモノ以外を減らす人」のことを指します。
ビジネス用語では「選択と集中」といって、自社の強い事業を選び出し、資源を集中させる戦略です。
複数の事業にリソースを分散するのではなく、特定の事業にお金や人員を集中させることで、大きな利益をあげることができます。
ミニマリストの本質も「選択と集中」と同じです。
自分にとって不要なモノを減らし、「必要なモノ・大事なモノ」に時間やエネルギーを集中させることで、幸せを手に入れています。
ミニマリストの本質は、企業がやっている経営戦略と同じ「選択と集中」にあります。
「慣れ」→「飽き」という毒
ぼくたちがかつて願ったことはすべて叶っている。それなのに、なぜそれに満足できず、不幸だと感じてしまうのだろうか?
答えは誰にでもわかる。ぼくたちは叶った願いに次第に「慣れ」たのだ。
「慣れ」はだんだん「当たり前」のものになる。「当たり前」のものに、最終的に「飽き」てしまったのだ。
なぜ私たちは、次から次へと新しいモノが欲しくなってしまうのでしょうか。
その答えは、人間は「慣れ」→「飽き」という性質を持っているからです。
新しいジャケットを初めて着るときは、誰しも喜びを感じます。
しかし、5回も着ると慣れてしまい、10回も着れば「あって当たり前のモノ」となります。
「慣れ」は次第に「当たり前」となり、最終的には「飽き」てしまうのです。
この「慣れ」→「飽き」の仕組みは、経済学の「限界効用逓減の法則」に近い性質があります。
限界効用逓減の法則とは、「消費の増加に伴って、得られる効用は下がっていく」というものです。
一杯目のビールの美味しさが100だとして、二杯目は80,三杯目は60…と、同じビールなのに得られる効用は下がっていきます。
モノも同じように「感動・嬉しさ」といった効用は、使い続けるうちに下がってしまうのです。
人間に「慣れ」→「飽き」の性質がある限り、モノで幸せになることはできません。
手放すことは、「技術」である
話せば話すほど外国語が上達するように、手放せば手放すほど、手放すことは上手になっていく。手放す習慣が身につき、手放すまでの時間が短くなっていく。手放すための公式を縦横無尽に使えるようになってくる。手放すことは、正しく「技術」である。
この本を読んでも、いきなり断捨離マスターになることはできません。
なぜなら、モノを手放すには「技術」が必要だからです。
断捨離しようとしても、最初のうちは「どこから手をつけたらいいのか」「どうやって手放せばいいのか」分からず、失敗するでしょう。
私も以前は1つのモノを手放すのに何時間もかかったり、必要なモノまで捨ててしまったり、何度も失敗してきました。
失敗しながら経験を積んで、モノを手放す技術を身に付けていくのです。
なんでも最初からうまく出来る人はいません。
失敗しながら「手放す技術」を磨いていきましょう。
収納術・片付け術を学ぶより、モノを減らす
収納術、片付け術にすがるよりも、まずはモノの絶対数を減らすのが先決だ。モノの数が減れば、「散らかる」こと自体が減っていく。
ぼくの部屋にはモノがほとんどないので、もはや「散らかる」ということ自体が起こらない。「散らかる」という概念がないのだ。
収納術・片付け術を学ぶより、「モノの絶対数」を減らした方が効果があります。
「モノ自体」が無くなれば、部屋が散らかることはなくなるからです。
私は収納や片付けといったテクニックは苦手ですが、モノが少ないため部屋が散らかることはありません。
そもそも、部屋が散らかる原因である「モノ」がなければ、散らかりようがないのです。
部屋をスッキリさせたい人は、収納術や片付け術を学ぶよりも、モノの数を減らしましょう。
収納術・片付け術よりも、断捨離術を身に付けることをおすすめします。
「モノの価格」と「喜び・嬉しさ」は比例しない
1万円の指輪と、5万円の指輪、30万円の指輪を手に入れたとき、それぞれの段階で感じる喜びは大体同じだということだ。5万円の指輪が1万円の指輪をもらったときの5倍嬉しいわけではない。喜んだ笑顔の口角が5倍にあがるわけではないし、喜びの持続時間が5倍になるわけでもない。モノの価格には限界がないが、「人の感情には限界がある」のだ。
モノを買ったときの「喜び」「嬉しさ」は、モノの価格と比例しません。
なぜなら、人の感情には限界があるからです。
私が学生時代に奮発して1万円のジャケットを買ったときの喜びと、社会人になってから5万円のジャケットを買ったときの喜びは、ほとんど同じでした。
食べ物も同じことが言えて、1万円の高い寿司をご馳走になったとき「100円の回転寿司の100倍美味しいか?」と言われたら、せいぜい2倍がいいところだと思います。
「モノの価格」と「そのモノを手に入れたときの喜び・嬉しさ」は、比例しないのです。
「モノの価格」と「手に入れたときの喜び」は比例しないため、モノやお金で幸せになることはできません。
モノを買って失敗したときの対処法
モノで失敗したと思ったときは、すぐに手放した方が懸命だ。
でないと、いつまでも心のどこかで「失敗」と考えているモノと長い時間付き合うことになり、健康的でなくなる。
勉強代と考え、失敗した理由を心に刻んだ方が、次はもっとうまくモノを選べる。
モノで失敗したときは、すぐに手放した方がダメージは少なくて済みます。
そのまま「失敗したモノ」を持ち続けると、長く苦しむことになるからです。
「買ったばかりで手放すのは、もったいない」と思うかもしれませんが、いらないモノを持ち続けて失う時間やエネルギーのほうがもったいないです。
モノで失敗しても1つ学んだと思って、次に生かしましょう。
「買ってみたら思ってたモノと違った」という経験は、誰しもあると思います。
そういう時は、「モノではなく、失敗した経験を買った」と思うようにしています。
「モノの豊かさ」より「時間の豊かさ」が幸福につながる
心理学者のティム・キャサーは「時間の豊かさ」が幸せに直結し、「物質の豊かさ」はそうではないと主張した。
バリバリ仕事ができ、十分すぎるほど稼いでいても、いつも何かに追い立てられストレスを抱えている人は誰の周りにでもいるだろう。
モノの豊かさよりも、時間の豊かさが幸せにつながります。
どれだけモノを持っていても、いつも時間に追われイライラしている人は幸せとは言えません。
「世界一貧しい大統領」と呼ばれたホセ・ムヒカ元大統領は、
「モノで溢れることが自由なのではなく、時間で溢れることこそが自由なのです」
と主張しました。
モノを減らして時間を増やすことが、幸福への近道です。
私はモノをほとんど持っていませんが、時間をたくさん持っているため、幸せに暮らせています。
「ミニマムライフコスト」という概念を持つ
自分の生活水準を保つため、おかしな職場で自分をすり減らしながら生きたり、自殺に追い込まれるまで働くのは本末転倒だ。ミニマムライフコストを下げればどこへだって飛び移っていけるようになる。ミニマリズムは働き方をも自由にする。
自由に生きるためには、「ミニマムライフコスト」という概念を持つことが大事です。
ミニマムライフコストとは、「1か月暮らすために、最低いくら必要か?」という、最低限必要な生活費のこと。
ミニマムライフコストが少なければ少ないほど、労働から解放されて自由になります。
たとえば、時給1000円のバイトだと月の生活費が10万円の人は、最低100時間働かなければなりません。
月の生活費が5万円の人は、半分の50時間で済みます。
このように、ミニマムライフコストを減らすことで、仕事の幅が広がり自由に近づくのです。
私のミニマムライフコストは月5万円以下なので、年間3か月ほど働けば余裕を持って暮らせます。
「モノ」より「経験」を買う
「経験」はどちらが優れているか比べづらく「モノ」はすぐに比べられる。比べられる「モノ」の方が「自分の価値」も確かめられやすい。だけど実際には、幸せの持続時間が長いのは経験の方だ。だから誰かと比べるためにモノを買うより、行動力を上げて経験を積み重ねた方が、はるかに豊かに感じられるようになる。
「モノ」を買うよりも、「経験」を買った方が幸福は長続きします。
モノは「慣れ」→「飽き」の性質があり幸福は長続きしませんが、「経験」はいつまでも心の中に残り続けるからです。
私はバイクで日本一周の旅をしたりフィリピンへ語学留学したり、たくさんお金を使いましたが、一生残る経験を買うことができました。
「モノ」にお金を使うよりも、「経験」にお金を使いましょう。
日産セレナのキャッチコピー「モノより思い出」は、まさにその通りだと思います。
モノが手放して、手に入れた幸せ
ぼくは「必要」なモノはすべて持っている。
ぼくに何か足りないモノはない。放っておくと、モノへの欲は、自分がコントロールできない怪物にまで成長してしまう。
かつてのぼくは物欲の塊で、足りないモノばかり見ていたので本当に苦しかった。
欲しいモノは特にない。これは、本当に最高の気分だ。
「自分に足りないモノはない」と、いまの自分に満足すれば幸せに生きることができます。
逆に「足りない」「もっと欲しい」と思えば思うほど、幸福は遠ざかっていくでしょう。
古代中国の思想家である老子は、「足るを知る者は富む」と言いました。
「必要なモノはすべて持っている、これ以上のモノは必要ない」と思うことができれば、幸せに暮らすことができます。
私は僅かなモノとお金しか持っていませんが、いまの自分に満足しているので幸せです。
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