著者紹介
20代から隠居生活を実践している、大原扁理さん。
中学生時代に、集団リンチなど悪質なイジメを経験。
高校卒業後は工場で派遣の仕事をするも、ミスが多く毎日叱られてばかりの生活だった。
経験のあるコンビニバイトに戻り、3年間ほぼ引きこもりの生活をするも、人に会わな過ぎて口から言葉が出なくなる。
人と話せなくなったことに危機感を感じ、自分を変えるため世界一周の旅に出る。
海外ひとり旅が終わった後、杉並区のシェアハウスに引っ越すも、高額な家賃のせいで仕事に忙殺される日々を過ごす。
その後、多摩地区にある家賃2万8000円のアパートに引っ越し、忙しい仕事は辞めて隠居生活を始めた。
『20代で隠居:週休5日の快適生活』『いま、台湾で隠居してます」など、著書多数。
本の概要
著者である大原扁理さんの人生哲学や、年収90万円で暮らす生活の内容が書かれた本。
人生でいちばん大切なことは、他の誰でもなく「どうすれば自分が幸せか?」という「実感を大切にすること」である。
子どもの頃から「普通」や「当たり前」を教えられるが、そういった「世間の常識」ほど曖昧なものはない。
世間の声より「自分の実感」を大事にしたほうが、ラクに生きることができる。
大原さんが経験してきたことをベースにしながら、
- お金
- 仕事
- 暮らし
にまつわる、「世の中のルール」に疑問を投げかけていく。
「自分の実感を大切にする生き方」「年収90万円で暮らす方法」を学べる1冊。
こんな人におすすめ
学びになった点
実感を大切にする
子どもの頃から世間にいろんな「ふつう」や「当たり前」を刷り込まれますけど、世間ほどぼんやりして当てにならないもんはない。
自分の実感を基準にしたほうが、のちのち変わってしまったとしても、人のせいにしなくてすむし、長い目で見ればずいぶんラクに生きられる。
これがわたしの思う、実感を大切にするということ、そしてこの本で書きたいことです。
人生において大事なのは、「自分の実感を大切にすること」です。
自分の実感を無視して他人の意見を優先してしまうと、「自分の人生」ではなく「他人の人生」を生きることになるからです。
私たちは小さい頃から「こうするのが普通」や「これぐらいできて当たり前」といった、「世間の常識」を教えられます。
しかし、その「世間の常識」が、自分にも当てはまるとは限りません。
納得のいかない、理解できない常識に縛られたまま生きるのは、大きなストレスとなります。
「世の中の人は違うけど、自分はこう思う」と、世間の声に惑わされず、「自分の実感を大切にすること」が大事です。
私は世間の声に従い、「普通」であろうとするほど、疲弊して不幸になりました。
いまは周囲の意見ではなく、自分の実感を大切にすることで、幸せに生きています。
好きなことで生きるより、イヤなことで死なない
大切なのは「好きなことで生きていく」じゃなくて、「イヤなことで死なない」。そんなハードル高く設定しないほうが、後から絶望しなくてすむんです。
好きなことで生きるよりも、嫌なことで死なないことを目指したほうが、ラクに生きられます。
なぜなら、人生のハードルが下がって生きやすくなるからです。
「好きなことで生きられる人」は、ごく少数の才能がある人たちだけで、ほとんどの人には真似できません。
「嫌なことで死なない」ぐらいなら、特別な才能がなくても可能です。
「好きなことで生きるより、嫌なことで死なない」ぐらいで考えたほうが、人生のハードルが下がってラクに生きられます。
好きなことをやって生活できるのは、才能があるごく一部の人だけです。
多くの人は「嫌なことで死なない」を目指したほうが、ラクに生きられます。
進路に迷ったら消去法で決める
どうしても進まなきゃいけないときは、消去法がおすすめです。
というのは、人間、やりたいことはわかんなくても、やりたくないことだけは意外と迷わないんですよね。
目の前にある選択肢から、どれをやりたいかではなく、やりたくないものからどんどん消去していきます。残ったものから「これならまあガマンできるかな」というものを選ぶんです。
もし「これからどうするべきか?」進路に迷ったら、消去法で決めることをおすすめします。
なぜなら、自分の「やりたいこと」が分からなくても、「やりたくないこと」は分かるケースが多いからです。
たとえば、就職で「やりたいことが見つからない」と悩んだ場合、「どの仕事がやりたいのか?」ではなく「どの仕事はやりたくないか?」を考えます。
やりたくない仕事から考えて除外していき、残った選択肢の中から「まあ、この仕事ならやってもいいかな…」と、消去法で決めるのです。
「やりたいこと」が明確にある人はいいですが、多くの人は「やりたいこと」が見つからなくて悩んでいます。
「やりたいこと」が見つからないときは、消去法で決めましょう。
私も「やりたいこと」は無いのですが、「やりたくないこと」なら、いくらでもあります。
「やりたいことをやる」よりも、「やりたくないことをやらない」ほうが大事です。
他人と比べられて辛いとき
社会というものは、常に比較して、違う部分を見つけ出し、ないときは無理やり作り出してでも、誰かを排除・攻撃したがるものです。
そういう、他人と比べられてしまう場所にいなければならないとき、わたしならいかにして少しずつ離れていくか、ということを検討します。
他人と比べられて辛いときは、比べられる環境から離れましょう。
なぜなら、集団の中にいる限り誰かと比較されて、少しでも変なところがあると攻撃されるからです。
大原さんは「わたしが人と比べられなくて済んでいるのは、人と関わってないからだ」と言います。
私も同様に、誰とも関わらず1年中ずっと一人でいるため、比べられることはありません。
もし他人と比べられてしまう環境にいるなら、いち早くその場から離れることをおすすめします。
私はこれまでの人生、常に誰かと比較されて辛い思いをしてきました。
他人と比べられないようにするには、「比べられる環境に身を置かないこと」です。
いじめられて死にたいとき
いま、いじめられている子たちに言えることがあるとしたら、「いじめはずっとは続かない」ということ。小学校は6年、中学と高校は3年で終わるんです。子どもの3年なんて、永遠みたいなもんだけど、それでも3年間できちんと終わります。(中略)それまで、出来る範囲で逃げ続けましょう。
もしイジメられた場合は、出来る限り逃げましょう。
イジメに遭っても逃げ続けていれば、いずれ終わりが来るからです。
学生のイジメなら、学校を卒業したら終わります。
社会人のイジメでも、その会社を辞めてしまえば終わりです。
一番良くないのは、イジメを我慢すること。
イジメを我慢すればするほど、どんどんエスカレートしていきます。
昔の私は逃げずに我慢してしまい、イジメがエスカレートして、トラウマになるほど深く傷つくことになりました。
周りからなんと言われようが、体裁よりも命のほうが大事です。
もしイジメに遭ってしまったら、我慢せず逃げましょう。
私は学校・会社でイジメに遭っていましたが、どちらもその環境から離れたらイジメは終わりました。
イジメに対する一番の対策は、逃げることです。
世の中のルールは当てにならない
ルールって、本当に意味わかんないことが多い。
ルールが出来るからには「こうしたほうがみんなが暮らしやすい」みたいな理由があるはずで、その理由が実生活で成立しなくなってたら、守る意味ないと思うんですけど。
必要ないものを守り続けることで、逆にいま暮らしにくくなっちゃってるじゃん。
世の中にあるルールは、当てにならないものが多く感じます。
「会社に就職して、定年まで働くのが普通」
「仕事は派遣やバイトではなく、正社員が当たり前」
など。
そういったよく分からないルールに縛られることが、生きづらさの原因となっています。
誰が決めたのか分からないルールに従うより、自分が正しいと思う道を進みましょう。
私も以前は、誰が作ったのか分からない「常識」に縛られて苦しめられてきました。
いまは「常識」から解放されて、自由に暮らしています。
善悪で判断するのをやめる
いい悪いとか、正しい間違ってるみたいな、相対的で対立的な価値観って、疲れると思う。
間違ってる何かがないと、自分が正しい側に立てないというのは、しんどくないでしょうか。
「良い or 悪い」「正しい or 間違い」という判断はやめましょう。
善悪や正否で判断してしまうと、争いの原因となるからです。
「自分は正しい、相手が間違っている」という判断から、争いは生まれます。
大事なことは、判断せずに「受け入れること」です。
自分から見ておかしいと思っても、
「考え方は人それぞれだし」
「そういう考え方もあるんだな」
と、受け入れる寛容さを持ちましょう。
何が正しく間違っているかなんて、誰にも分かりません。
私は自分から見ておかしいと思っても、判断せずに「世の中いろんな人がいるんだな」と思うようにしています。
お金を稼ぐ前の心構え
必要なだけ働けば満足なのか、それ以上にバリバリ働くか。わたしはそこを社会に決められるんじゃなくて、自分で決めたかったんです。
(中略)自分はどう考えても「必要なだけ働けば満足派」なので、まず生活水準を下げられるところまで下げる。必要最低限のお金がいくらかわかれば、そこから週に何日働けばいいか、逆算できると思ったんです。しかも、必要なお金が少なければ少ないほど、働かなくていい。
大原さんは「働く前の心構え」として、以下のように述べています。
まず物欲を減らす
まずは物欲を減らします。
社会には人の欲につけこんで、お金を使わせる罠がいっぱいあるからです。
物欲を減らすには、欲しいものがあっても積極的に諦めにかかること。
大原さんは、「そもそも本当に欲しいのだろうか?」と自分を疑うそうです。
「欲しいかどうか」3か月ぐらい考えてるうちに、欲しいと思う気持ちは冷めます。
工夫して生活する
生活費を下げるために、大原さんが行っている「生活の工夫」は以下の通りです。
これらの「生活の工夫」を実践して、生活コストを下げています。
「欲しいもの」でなく、「必要なもの」だけにお金を使う
生活費を下げるためには、「欲しいもの」ではなく「必要なもの」を買うことです。
「生活に必要なもの」は、次のようなものが挙げられます。
「欲しいもの」と「必要なもの」の基準は、服だったら「シーズンごとに買うのは必要以上」。
「破れたり汚れたりして着れなくなって、新しいものを買うのは必要以内」という感じです。
週に最低何日働けばいいか逆算&実践
①~③を通して、「生活に必要な最低限のお金がいくらか?」が見えてきます。
出てきた数字から「週に最低何日働けばいいか」を逆算して実践。
大原さんの場合、月7~8万円ほどあれば生活できるため、週2日だけ働いていたようです。
私の場合、月5万円もあれば余裕を持って生活できるため、年間3か月ほどの労働で済んでいます。
趣味の見つけ方
あんまり働いてないと、どうしてもひまな時間が多くなります。そうすると、趣味が充実しているかどうかってけっこう大事。でも、長~く楽しみたいなら、ただやみくもに選べばいいってもんでもないんです。
隠居して働く時間が減ると、ひまな時間が増えます。
ひまな時間が増えると、ひま潰しになる趣味が必要です。
趣味の見つけ方にも、大原さんならではの工夫があります。
お金がかからない
まずは、お金がかからないこと。
楽しむためにお金がかかる趣味は、経済的効率が悪いからです。
お金をかけたからといって、楽しいとは限りません。
「10倍高い寿司を食べたからって、10倍ウマいわけじゃないんですよ」という台詞は、的を射ていると思います。
準備がいらない
次に必要なのは、準備がいらず、身ひとつあれば出来ること。
パッと思い立って、すぐにできる手軽さが重要です。
始めるために道具が必要な趣味だと、お金はかかるし準備が大変なので、隠居の趣味には適しません。
時間や場所を選ばない
その趣味をやるのに、時間や場所を選ばないことも大事です。
趣味のために特定の時間や場所に行く必要があると、天気に左右されたり、行くのが億劫になったりする可能性があるからです。
たとえばテニスやサッカーなど、屋外でやるスポーツなんかに当てはまります。
ひとりで出来る
最後の条件は、「ひとりでも出来ること」。
友達がいないとできない趣味は、他人の都合に左右されてしまうからです。
「誰かと一緒でも出来るけど、ひとりでも出来る趣味がベスト」だと言います。
これらの条件を踏まえて、大原さんは「読書」と「散歩」を選んだそうです。
私も同じで、毎日のように読書と散歩しています。
今、この瞬間を生きる
こういう生活って、悪く言えば、今しか見ていないとも言えますよね。
ところがわたしは、これを将来から逃げているとは全然思わないんです。むしろ逆だと思う。
なぜなら、将来のことを本気で考えていると、今この瞬間を大切に生きることにどうしても戻ってきちゃう。
(中略)今日のことも大切に出来てないのに将来を語るのって順番が違うような気がする。
人生で大切なのは、「今、この瞬間」を生きることです。
なぜなら、「今、この瞬間」を大切に生きることが、より良い未来を創ることに繋がるからです。
未来というのは「今日1日の積み重ね」なので、今を大切に出来なければ、より良い未来を迎えることはできません。
世の中の多くの人は「未来を心配するあまり、今を犠牲にする」傾向が強いように感じます。
より良い未来を生きるためには「今、この瞬間」を大切にして生きましょう。
大原さんのような生き方は刹那的だと捉えられがちですが、将来のことを考えるなら、「今を大事に生きること」が最も重要となってきます。
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